映画、鬼滅の刃「無限城編」が、人気を集めています。
鬼の存在は、実証できませんが、鬼が、その名前が意味するところは伝染病である、ということです。
伝染病であるからこそ、鬼=伝染病は人の命を奪い、時には人の命を吸い、その力を増大させていくのも納得です。
それぞれの鬼の持つ、名前の由来、表す病気を知ると、「鬼滅の刃」を別の視点から楽しむことができます。ぜひご覧ください。
鬼滅の刃、鬼は実在したか?
「鬼」というものは実在しません。
日本の民話の中でも、妖怪の一つと分類されていますが、妖怪もまた実在ではありません。
では、なぜ人は「鬼」、「妖怪」を古来より恐れるのでしょうか?
それは、心理面、歴史、文化的、物語という5つの要因が、重なりあってできたからです。
ですから、鬼は、悪役なのです。
鬼は「異質なもの」の象徴だから
鬼はしばしば人間とは異なる存在として絵画などに描かれます。
- 巨大な身体
- 獣のような顔
- 角、牙、赤や青い肌
- 常識が通じない
という形で。
こうした「異質さ」は、人間にとって理解しがたい存在であり、そこに恐怖を感じるのです。
人間は理解できないものを恐れる、という傾向につけ込んだ設定ですね。
鬼は「人間の負の感情」の表れだから
日本の伝承における鬼はしばしば、怒り・恨み・嫉妬・執着といった負の感情が強まり、怪物になった元人間として描かれます。
- 例えば『平家物語』や『源氏物語』では、恨みを抱えた人物が鬼になる例があります。
- 鬼とは、もともと「心の闇」や「抑圧された感情」が外に現れたものとも解釈できます。
つまり、「鬼を恐れる」とは、「自分の内にある制御できない感情」への恐れでもあります。
いえ、本当は一番恐ろしい存在は人間なのですよ。
鬼は「自然災害」や「死」を表しているから
昔の人々は、雷、地震、疫病、飢饉など、説明のつかない自然現象や災いを「鬼」の仕業と考えました。
- 雷 → 鬼が太鼓を鳴らしている
- 疫病 → 鬼が村にやってきた
このように、鬼は人知を超えた恐ろしい力の象徴でもありました。
ということは、鬼はまさにぴったりな役です。
物語・伝承の中で「怖いもの」として教えられてきたから
鬼は民話や昔話(『桃太郎』『一寸法師』など)でしばしば「悪役」として登場します。
- 「悪いことをすると鬼が来るぞ」と子どもをしつける
- 「鬼を退治する」ことで英雄が誕生する
こうして「鬼=恐ろしいもの」というイメージが代々伝えられ、人々の心に根づいていきました。
こうしてみると、人間は、「鬼」を利用しているみたいです。
鬼は「人間の限界」を試す存在だから
鬼は単なる「怖い存在」ではなく、しばしば「人間が乗り越えるべき存在」として描かれます。だからこそ恐れつつも、物語の中では鬼を退治する英雄が称えられます。
つまり、「鬼」とは人間の心が生み出した、恐れの対象だったのでは、と私は思うのです。
人間の心の中で作り出してしまったものを、人間自身が乗り越える、そのための心の強さを人間は持つ必要がある、と思われます。
「鬼滅の刃」を見たところ、困難に出会って、自分自身に勝とうとしたものが、鬼殺隊に入り、反対に押しつぶされてしまったものが、鬼になっている、と思えます。
鬼殺隊と鬼はまさに紙一重だったのではないでしょうか?あるいは自分との戦いか?
鬼滅の刃の鬼は、病気がモチーフ?
「鬼滅の刃」の鬼たちは、病気がモチーフになっている、と言われています。
では、モチーフは何?というと、作品の発想となる原点、ということです。
病気となぞらえるほど、鬼は嫌われ者と扱われ、少し鬼が気の毒になりました。
病気がモチーフと言っても、作者 吾峠呼世晴さんが、直接書いているのではないので、諸説あります。
病気、それも伝染病がモチーフとなったことが、「鬼滅の刃」の人気の一つとなっています。
「鬼滅の刃」はは、人気が急上昇し始めたのが、2019年4月のテレビアニメ放映が始まってからで、その時期からコミックスの売り上げも、倍以上になりました。
鬼滅の刃、鬼の名前の由来は病気から?
「鬼滅の刃」の鬼、それも特に最上級に強い、上弦の鬼(じょうげんのおに)と呼ばれる面々は、「病気」をイメージに作られました。
名前だけですから、決して、その鬼たちが病気にかかっていた、というわけではありません。
そのほとんどの病気は、伝染性が強く、完治も難しいものが多かったので、人々からは嫌われる存在でした。
だからこそ、病気をイメージする名前が、鬼につけられ、世の中から憎まれる存在であったのです。
鬼滅の刃、反天狗の病気
半天狗は、額に大きなこぶがあり、容貌がゆがんで見えるため、ハンセン氏病ではないかと言われています。
ハンセン氏病は、当時では、らい病と呼ばれ、だんだんと肌がただれていくため、見た目で嫌われて今いた。
現代では、感染力も非常に弱く、治療方法も発見されています。
半天狗はすでに、テレビシリーズにて、退治されました。
鬼滅の刃、堕姫のモデルは?
堕姫(だき)は、「鬼滅」の刃では、鬼ですが、古代中国の伝説物語から、そのモデルではと思われる人物がいます。
どんな病気を現るすかも、推測がつきやすい登場人物です。
この鬼 堕姫もすでに、兄 妓夫太郎(ぎゅうたろう)と共にテレビシリーズでは退治されましたが、鬼の中でも、悲しいドラマを持った鬼兄妹でした。
堕姫としてのモデル
「鬼滅の刃」の堕姫は、名前の読みが同じだから、古代中国の伝説物語「封神演義」(ほうしんえんぎ)の登場人物、伝説の悪女 妲妃(だっき)では?という説もあります。
しかし作者自身が、これについては何も説明していないので、はっきりとは言えません。
「鬼滅の刃」、鬼 堕姫の病気を表すのは?
堕姫はどんな病気を表すか、これはすぐにわかると思います。
梅毒ですね。
堕姫とその兄 妓夫太郎の場合は、他の鬼とは違い、「梅毒」そのものが鬼になる要素に結びついています。
堕姫の人間時代の名前は「梅」、漫画・アニメ内でも説明があったように、母のかかった病気からその名前をつけられました。
堕姫が鬼になる前は、遊郭で働いていた母親がかかってしまった病気のため、堕姫とその兄 妓夫太郎は、お金に、日々の食べ物に困り、堕姫は母と同じ、遊女の道をたどりました。
堕姫は、発病が見られませんでしたが、兄の妓夫太郎の方は、まさに体つき、容貌に病気の影響がはっきりと表れています。
梅毒は、遊郭では多い病気ですが、それでもかかってしまうと、四面楚歌の扱いをされます。
遊郭で堕姫は、事件を起こし、生きたまま焼かれるという残忍な、仕打ちを受けてしまいます。
人を人として扱わない、遊郭というものに対し、兄の妓夫太郎は理不尽な憤りを感じますが、その怒りの気持ちに応えてくれたのが鬼、というわけだったのです。
鬼滅の刃、童磨の病気?
童磨も、「無限城 第1章」でその姿、性質を表した鬼です。
ある意味、「鬼」の中では、無邪気に見えますが、傲慢なイヤな奴、と見えます。
映画では、活躍をしてきているので、ここで、取り上げました。
「鬼滅の刃」、童磨は結核
この鬼は非常に強い鬼で、病気のイメージは結核です。
結核は、肺病とも呼ばれ、かかると決して治らない死の病として、当時考えられていました。
氷のような冷気を操作して、相手の呼吸に合わせて冷気をだし、吸わせて、相手の肺を壊死させてしまうのです。
肺の機能を封じてしまうのですから、それは結核のことを指しています。
鬼は人を喰らうからですが、いつも口から血を出して入るところが、結核のイメージを出しています。
だからと言って、結核になった結果が「鬼」なのではないのです。
「鬼滅の刃」童磨が鬼になった理由
鬼になった直接の理由は、最強の鬼「鬼舞辻無惨」に鬼にしてもらったからです。
鬼舞辻無惨は、童磨の心の奥底から人間らしさを全く感じなかったからなのだと思います。
鬼になった、理由は明記されておらず、ただ、「鬼滅の刃」のファンブックの中で「鬼にしてもらった」としか書かれていません。
童磨は幼い頃から、新興宗教の教祖にされ、人々から尊敬を集める身となることで、通常の子供とは違う性格が芽生え始めたところに鬼の要素があります。
教祖と祭り上げられ、人々の苦しみを聞かされ、悲しさに対して何も感じなくなってしまいました。
人の苦しみを救ってやること、それが、やってくる信者たちを食することで、相手の苦しみを消し去る、そう考えたからなのです。
童磨を教祖に仕立て上げた両親も、信者とのいざこざで亡くなり、その時ですら童磨は、悲しみの感情ひとつ見せませんでした。
それどころか、その時に考えたことといえば「部屋が汚れる」などと、親が死んだ子供とは思えない思考でした。
人を殺すことを、善として思っているところは、「鬼滅の刃の」の鬼の中では鬼らしい鬼のトップに上げられると思います。
鬼滅の刃、猗窩座の場合は?
猗窩座は、「鬼滅の刃 第1章」で一番活躍する鬼です。
それでも、最後には、倒されてしまうのですが。
鬼滅の刃、鬼 猗窩座は赤痘瘡
鬼滅の刃、映画「無限城」編で、一番活躍する鬼が、猗窩座(あかざ)です。サブタイトルも「猗窩座再来」とあります。
猗窩座のモチーフは、麻疹(はしか)です。
麻疹は古くは、赤痘瘡(あかもがさ)とも呼ばれていた伝染病です。
猗窩座も、もちろん、麻疹にかかり病気にかかったわけではなりません。
猗窩座の場合は、病気が直接関わってくるというのではなく、「あかもがさ」と「あかざ」の発音に類似点がある、ということのみです。
猗窩座は悲しみと怒りから鬼に
猗窩座の身体には、刺青を思わせる青い線が何本も入っています。
これは病気ではなく、罪人であったことを示しています。
猗窩座が幼い頃から、盗みを繰り返していたためです。
病気がちの父親の薬代を稼ぐためとはいえ、罪は罪。そのため父は自害するのです。
その後、猗窩座の力を信じた武芸の道場主に見出され人間らしい感情を知ることになるのですが。
敵対する勢力により同情主とその娘は毒殺されてしまいます。
そこに、激しい怒りを感じた、猗窩座はついに鬼になった、という鬼になる動機が悲しい過去だったのです。
鬼滅の刃、黒死牟の病気
黒死牟(こくしぼう)は、上弦の鬼の中で、ナンバーワンを誇る力の持ち主です。
そんな黒死牟は、字でわかるように「黒死病」つまりペストです。
ペストも、かかった時の見た目が、「鬼滅の刃」の鬼の特徴と似ています。
ペストにかかると、敗血症になり、皮下に黒っぽい皮下出血が表れます。
そこが鬼の、血の色が変わるところとよく似ています。
黒死牟といえば、全体的に黒っぽいイメージです。
目の数が多くなるのは、ペストとは全く関係ありませんが。
黒死牟と、ペストも殺傷力が非常に強いです。
1400年台のヨーロッパでとても恐れられていた病気であるので、黒死牟のイメージとしてはぴったりですね。
古い時代の、恐怖の伝染病の代表格です。
一般庶民に恐怖を植え付けるには、ちょうどいい存在です。
鬼滅の刃、無惨の病気
鬼の頭領である、鬼舞辻無惨は、ガンです。それもガン細胞。
体内に、細胞が一つ入るだけで、死への歩みが始まる。その細胞はやがて全身をめぐる。
手術しても、取り残しがほんの少しでもあれば、患者の身体はガン細胞に乗っ取られてしまいます。
まさに、鬼舞辻無惨の鬼の血、そのものです。
一度、体内に細胞が入ってしまうと、完治は難しい、というところも鬼舞辻無惨によく似ています。
鬼舞辻無惨については、こちらの記事をお読みください。
平安時代に生きていた、鬼舞辻無惨ならかかった不治の病というと、結核のような気がしますが、結核ほどポピュラーな病気ではなさそうですが、着実にガンと思われる病気はあったようです。
鬼滅の刃、鬼の病気の考察・まとめ
「鬼滅の刃」は、雑誌掲載時も人気がありましたが、特に人気急上昇になったのはアニメ化からでした。
それも、最初の放映(2019年4月〜9月)の終了あたりからです。
その頃から、コロナが流行り、猛威を振るうようになると、人々はその病気の危険性に恐れ、外出を控えるようおになりました。
コロナの蔓延はまさに、鬼の脅威とぴったりと合ったのです。
鬼の名前も、比較的病名が想像しやすい名前が付けられていました。
人々は、コロナの1日も早い終息を願い、コロナを鬼に見立てて、鬼を討伐する「鬼殺隊」を夢見ていました。
そして、鬼にはそれぞれ、鬼独自のドラマがあり、そのことがまた、「鬼滅の刃」の人気を高めていきました。
これが「鬼滅の刃」の人気の秘密だと思います。
鬼殺隊の人気は、もちろんのことですが、今回は、「鬼」に焦点を当ててみました。
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