蔦重の敵討?手拭の男とは?「江戸生艶気蒲焼」誕生。決意はなぜ?誰袖の願い。相手は誰?刀を使う?

蔦重は、刺殺された田沼意知のための敵討ちを考えます。

田沼意知を慕っていた、花魁 誰袖の悲痛な願いに立ち上がったのです。

偶然見つけた絵「手拭の男」が、発想からできた物語が、「江戸生艶気蒲焼」。

中に書かれた、仇討ち内容とは?

ここに「江戸生艶気蒲焼」でどんな敵を討ったのか、推理を交えて解説していきます。

どうぞ最後までお読みください。

蔦重流、敵討ちとは?

「蔦重流」の敵討、それは、「筆は刀より強し!」です。(「ペンは剣より強し」がもと)

蔦重(蔦屋重三郎)は、耕書堂という本屋を経営しています。本も作ります。

蔦重(つたじゅう)の仲間の、作者、絵師も乗り気になってくれています。

どのような敵討ちになるか?

戯作者であり、浮世絵師である 北尾政演(きたおまさのぶ)こと、山東京伝(山東京伝)が、持ってきた絵の中の一枚が、蔦重の興味を引きました。

これが「手拭の男」で、「男」を題材に黄表紙本(洒落や風刺を盛り込んだ娯楽性のある物語本)を作る計画をします。

山東京伝を、自分の店のお抱えにしている「鶴屋」も乗り気です。

これから、ストーリーを作り上げていくことになりますが、作家・絵師とオールスター揃ってのブレインストームです。

朋誠堂喜三二大田南畝、てい も加わります。

どのような物語になるでしょう?

果たして、「手拭いの男」とは誰?

敵討の本、というと、「忠臣蔵」(ちゅうしんぐら)が真っ先に頭に浮かびますが、違うようです。

蔦重は、敵討に、「手拭の男」、発想の転換?

山東京伝が持ってきた、絵 「手拭いの男」。

偶然のことでした。山東京伝は自分がデザインした下絵を持ち込んできました。

どんな図柄かというと、男が、のれんからちらりとこちらをのぞいており、男の顔は、鼻が丸く大きく、全体的に、滑稽な雰囲気です。

挿絵として使うのではなく、手拭の下絵です。手拭は、大名、歌舞伎役者から遊女達まで、様々なシーンで使われました。

「手拭合わせ」というコンテストまであるのですから。それは自分のお気に入りの手拭を、どれが一番、粋かを競うのです。

手拭の図柄は、江戸時代の文化を表しています。これぞお江戸文化、と言っていいですね。

蔦重、手拭の男を見て

山東京伝は、何点かの手拭の図柄を持ち込み、手拭作りをし、それが売れるよう、皆に協力してくれ、と頼んできました。

蔦重は何枚かある絵の中でも、特に、のれんの間から、のぞいている男の絵に興味を持ちました。

それが「手拭の男」です。

「手拭いの男」は見たところ、色男でもなければ、パッとするようなところもなく、「どこが、なぜ?」と誰もが思うところが、ツボです。

のちに、「手拭の男」が、田沼意知を刺殺した、佐野善左衛門政言に似ている、ということに気がつくところから始まりました。

蔦重、「敵討ち」物語をどうするか?

ここで蔦重が思いついたことは?

佐野善左衛門政言を実際とは全く逆の、人物にすること。

佐野政言は、真面目で実直で、芸者遊びなどとてもやりそうにない人物でした。

そこを、蔦重は、「手拭いの男」を放蕩息子に仕立て上げてしまおうというものです。

「手拭の男」は見た目も冴えないのに、物語の中で、粋ぶって、遊女と遊び、見栄を張って色男ぶり、色々と面倒ごとを起こすのです。

しかし、顔が似ているとはいえ、行動が全く佐野政言とは似ていないので、果たして、読んだ人たちが「佐野政言」と気がつくかどうか、と思うのですが。

蔦重、敵討の 目的は?

一見どこが、「敵討ち」なのかわからない話ですが。

実は、世直しの「佐野大明神」の権威を落とすところにあったのではないかと、思うのです。

「べらぼう」で見られるように、佐野善右衛門政言は田沼意知を殺害し、田沼の権勢に傷をつけたことで、民主達から「世の中のためになることをした人」と思われてしまっているのです。

そして、田沼一家の名声はどんどん落ちるばかり。

それを、覆そうとしたのが、蔦重達の本なのではないでしょうか?

佐野政言を、滑稽にすればするほど、「大明神」から遠ざかります。

佐野政言の、カリスマ化を落とすことで、誰袖の気持ちを晴らそうとしているのでは、と思えます。

蔦重、敵討本はフィクション?

実際は、田沼意知への仇討ちのために書かれた本、というものは、確認されません。

この話は「べらぼう」上でのフィクションだと思われます。

しかし、番組が創作をした、とも言い切れないと私は思っています。

江戸時代にあまりにも有名になってしまった「誰袖事件」。

蔦重の時代に、流行っていた、戯作本。

「誰袖事件」は江戸の街を走った、大スキャンダルです。

江戸を人の笑いでにぎやかにしたい、と思っていた、蔦重にとっては、実に腕の見せ所です。

ちょうどいい、題材だったのではないでしょうか?

蔦重、敵討ちのために書いた本とは?

どんな本なのか、現段階(2025年 7月27日段階)では明らかにされていませんが。

「江戸生艶気蒲焼」(えどうまれうわきのかばやき)何ではないでしょうか?

というのも、蔦中が出版し、山東京伝が書いた物語が「江戸生艶気蒲焼」で、出版年が1795年。

田沼意知が死んだ年が、1794年、とちょうどその1年後なので、時期的に合いますね。

蔦重プロデュース敵討ち、「江戸生艶気蒲焼」のおもしろさ?

蔦重・山東京伝達の書く物語は、そのまま素直に書くのではなく、パロディがこめられています。

パロディーとはパラドックスからきている言葉で、事実を反対に描くことで、滑稽さを表そうとするものです。

蔦重は、物語の中で、佐野善左衛門政言の性格を、全く逆にして、つまりパロディーに仕上げています。

簡単にストーリを紹介すると

江戸の大金持ちの息子・艶二郎は、自分がブサイクなのを気にしながらも「モテたい」「浮名を流したい」と必死。
彼は入れ墨を彫ったり、瓦版で自分を宣伝したり、芸者を雇って人気者を演じたりします。
さらに吉原の遊女「浮名」と偽の心中事件を計画しますが、途中で泥棒に襲われて裸にされる大失態。
実はこれは父と番頭が仕組んだ狂言で、艶二郎は恥をかいて改心する。

「江戸生艶気樺焼」、どこがおもしろい?

 うぬぼれ男・艶二郎のキャラが痛快

  • 醜男なのに「江戸一の色男になりたい」と思い込み、金と宣伝でモテようとする必死さがコミカル。

  • 失敗を繰り返すたびに、読者は「バカだなあ」と笑えるというのは、江戸時代の“承認欲求おばけ”キャラみたい。


 江戸のリアルな風俗&トレンド描写

  • 吉原の仕組み、瓦版(広告)、入れ墨、流行り歌、見栄文化…といった、当時の江戸っ子の世界が細かいギャグと絵で再現。

  • 挿絵は現代のマンガのようなセリフ入りで、テンポが軽快。


 風刺・パロディ満載

  • タイトルは「江戸前の鰻蒲焼き」をダジャレにしたもの。「蒲焼」には、平賀源内の件も盛り込んでいるかも?(源内が鰻の蒲焼を広めた)

  • 「恋愛は金で買えると思う男」「遊郭文化」への痛烈な皮肉。

  • ちょっと大げさな事件(偽心中)や泥棒登場でオチもバカバカしい。


現代にも通じるテーマ

  • 「インフルエンサーになりたい」「モテたい」「目立ちたい」欲望、 今で言う“バズりたい”感覚と同じ!

  • SNS時代に読むと、「江戸時代にも自己演出バカいたんだ…」と笑える。


上記 四点をまとめると。

「金持ちのバカ息子の承認欲求コメディ+江戸の風俗図鑑」。
黄表紙の中でもストーリー性が強く、絵と文がマンガチックなのが魅力です。

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蔦重、敵討ちを決意はなぜ?

町人が、田沼意知という武士のために仇討ちを計画する?

現行犯は佐野善左衛門政言とわかっているのだから、こちらはいいのですが、田沼意知の殺害を企てたのが誰か?

蔦重が、黒幕がいるのでは?と感じた時、は「丈右衛門だった男」を見てしまったからです。

その場面は、田沼意知の葬列が通り過ぎる時、その列に石を投げた者。そして、佐野政言を「世直し大明神」に祭り上げているところを目撃した時。

さらに、平賀源内の獄死事件の時にも、目撃したことを思い出し、そこに真犯人の存在に気が付いたからでした。

蔦重、敵討で誰袖の想いに、答える?

「べらぼう」の中では、誰袖が田沼意知を殺害した犯人を呪う、という呪詛らしきものを始めたので、一同びっくりします。

ついに誰袖が、闇落ちした、と。

そこまで、誰袖は、憔悴しきってメンタルをやられるまでになっていました。

相当、痛々しいですね。

そんな様子を見た、蔦重が一肌脱ぐ決心をしたのでした。

蔦重の、これぞ江戸っ子、と思わせる人情をよく表した、回でした。

蔦重、敵討ち相手は誰?

直接手を下した犯人は、佐野善左衛門政言で、すでに切腹済み。

でも、蔦重も、田沼意知の父、田沼意次も裏に誰かがいたことに気がついていました。

蔦重が、事件に裏がある、と思い始めたのが、「丈太郎と呼ばれた男」に、何度も出会ったことからです。

蔦重は、裏の本当の犯人が誰であるかよくわかっていません。

まず、裏の犯人をあぶり出すことから始めます。

田沼意知の父、意次は、一橋治済を黒幕と見ている様子です。

蔦重、敵討ちは刀を使わない?

敵討を決めた、蔦重。

その伏線となった話を、江戸の町人達が話していました。

敵討の願いを叶えてくれるところがある、とか、それは幽霊の村と呼ばれているところとか、というあたり、が「必殺仕事人」を連想してしまいました。

もちろん、そのような「〜仕事人」などいるはずはありません。

それに、「敵を討つ」と言っても、町人の蔦重達に刀を使っての仇討ちなどできるわけはありません。

田沼意知と蔦重は、見知った人、というだけで、身内でもなんでもありません。

ではどういう手段で、というのがこれからの「べらぼう」の見どころです。

まとめ

悲しみ、闇落ちまでしそうになった、誰袖のため、蔦重は仇討ちを考えました。

それは、武家などが使う刀での報復ではなく、本屋だからこそできる「物語」をを使っての敵討です。

それが、「江戸生艶気蒲焼」となって、江戸を賑わすヒット作品となりました。

「べらぼう」では、江戸の人気小説の誕生話を、誰袖の嘆き、敵討ちと絡ませて、のフィクションながらの、面白い、納得のいく話になっていましたね。

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