2025年 朝ドラ「ばけばけ」で、ラフカディ・ハーンこと、レフカダ・ヘブンさんを好きなのかも?と思われる女性、江頭りよ を取り上げます。
「ばけばけ」で見る、りよお嬢さんは、いかにもお嬢さんというタイプで、甘やかされたのかも?と見えます。
しかし、モデルとなったお嬢さんは、実行力も志も高い女性で、朝鮮で教育の仕事に関係します。
そんな、働く女性の先端を行くような女性、江頭りよのモデルの魅力をここでご紹介します。
「ばけばけ」りよ のモデルは?
モデルと言われている女性は、近藤淑子(こんどうよしこ)さん、と思われます。
ドラマと同じく、島根県知事の娘 です。
父は 籠手田 安定(こてだやすさだ)と言いますから、近藤というのは結婚してからの姓です。
元は、大津県の副知事(当時の役職は大参事)、のちに、滋賀県 権令(知事のこと)になり、その後島根県知事、新潟県知事になり、最後は貴族院議員になった人物です。
この一家は、高い身分にあった人ですので、その方のご長女 淑子さんはお嬢様ですね。
小泉セツ(松野トキ)さんから見ると遥かに身分が高いお嬢様で、セツ(トキ)ではちょっと太刀打ちできないほどです。
「ばけばけ」りよ、実在は?
りよ、のモデルは実在の 籠手田淑子 さん。その実在の人物を見ていきましょう。
籠手田淑子については、「西田千太郎 日記」でふれられています。
西田千太郎は「ばけばけ」の英語教師 錦織友一(にしこおりゆういち) のモデルとなった人物です。
りよ(淑子)とヘブン(ハーン)の出会いは?
「日記」によると籠手田淑子(りよ)は、ハーン(ヘブン)先生は、籠手田の家で初めてあったのでした。
ハーンが松江に英語教師として赴任してから、約1ヶ月後に、西田千太郎と一緒に、籠手田知事の家に招かれた時です。
その日は、淑子お嬢さんが松江婦人会の会長を辞めたことの慰労会でした。
慰労会で、琴や日本舞踊が行われ、外国人のハーンは、日本文化に触れて、とても喜んだ、ということも書かれています。
このシーンからだけでは、籠手田淑子さんがハーンに好意を持ったか、どうかまでは書かれていません。
りよ(淑子)さん、トキ(セツ)より先にヘブン(ハーン)先生に出会う!
「ばけばけ」を見ると、りよ は トキ が留守番をしている下宿先にうぐいすを届けにいきます。
しかし実際は、りよ(淑子)さんの方が先にヘブン(ハーン)先生に出会っています。
ラフカディオ・ハーンが気管支炎にかかって寝込んでしまった後に、ハーンさん付きの女中さんの募集が始まります。
ひどい病気、にまたかかってしまった場合を考えて、専属の女中を置いた方が良い、とハーンの勤め先や、県の方が考えたからでしょう。
りよ(淑子)、ヘブン(ハーン)に うぐいすを贈る?
これは事実です。
この話は、ラフカディオ・ハーンの「知られぬ日本の面影」、および池野誠 著「小泉八雲と松江:異色の文人に関する一論考」に書かれています。
史実によると、籠手田淑子が、ハーンの元に手紙を添えて、うぐいすを届けたのは、1891年1月、寒さ厳しい冬です。
ハーンが、気管支炎(当時は、「気管支カタル」と呼んでいた)にかかって一週間以上寝込んでいました。
「ばけばけ」でそのシーンがありましたが、あの鳥は「うぐいす」と言いながら、どうも「メジロ」に見えるのですが、そこが不思議です。
ハーンは、大変喜んで、その様子を、西田千太郎(錦織友一)への手紙で、感謝の気持ちを書いています。
「知られれぬ日本の面影」の中には、うぐいすをもらって非常によろこぶ、ラフカディオ・ハーンの様子が生き生きと書かれています。
見知らぬ土地で、親切にされると嬉しいものですよね。
りよ(籠手田淑子)、ヘブン(ハーン)先生と恋愛関係に?
りよ(籠手田淑子)とヘブン(ラフカディオ・ハーン)との交流はあったものの、恋愛関係に発展した、という史実は見つかりません。
籠手田淑子 と ラフカディオ・ハーンは年が10歳以上離れているので、お互い恋愛感情を持つことはなかった様子です。
でもドラマの中では、年が離れていても、りよさんはヘブン先生に恋してしまったのですけどね。
「ばけばけ」主人公のトキ(小泉セツ)が、実際にヘブン先生の女中になったのも、りよ こと 淑子が登場してから後の出来事なので、この辺りは史実と違っています。
これは、番組のアクセントとしての創作でしょう。
りよ さんこと籠手田淑子はのちに朝鮮にわたりますので、ここで、りよさんの失恋話的なことがあれば、物語は盛り上がるでしょう。
りよ(籠手田淑子)の史実での活躍?
りよのモデル 籠手田淑子は、朝鮮に渡り、そこで結婚します。
しかしお相手は、ヘブン(ラフカディオ・ハーン)ではありません。
籠手田淑子(りよ)、朝鮮に!
20代で朝鮮半島という異国に行き、精力的に活動する、籠手田(近藤)淑子さん。
移住した朝鮮の元山(ウォンサン)で、朝鮮の人々に日本語を教え始めます。
その様子は、明治の教育雑誌「教育実験界」に掲載されています。
教え始めたのは、明治32年、当初生徒は20〜30名ほどだった、ということが書かれています。
朝鮮に渡った時は、籠手田淑子 という名前、まだ結婚していない時でした。
1人で行ったようですが、その後2年ほど後に結婚しますので、結婚が決まっての渡航ではないかと思われます。
というのも、明治時代 女性が1人で、海外に渡るのは安全とは言えないからです。
朝鮮について、すぐに教えたい、と思ったということは、非常に教育熱の高い女性だったのでしょうね。
それも、もしかしたら、ヘブン(ハーン)先生の影響かもしれませんね。
りよ(籠手田淑子)、学校で教える
1899年 籠手田淑子 27歳の時に、朝鮮に日本語学校「元山源興学校」(ウォンサンげんこうがっこう)ができます。
設立者は 近藤範治(こんどうのりはる)。校長も近藤範治が務めます。
この学校で、籠手田淑子は校長補佐・高等科と養蚕の指導を行います。
養蚕もあるということは、この学校は最初に籠手田淑子が教えたような、日本語の学校としてでなく、産業を進めるための学校でもあったようです。
リヨ(籠手田淑子)の結婚は?
夫になった人は、近藤範治という長崎の元士族です。
「元山源興学校」の設立者であり校長先生です。
籠手田淑子、29歳の結婚、ということで、明治時代から見ると遅い結婚ということになります。
自らの結婚よりも、教育に熱を入れていたからでは、と思います。
父の籠手田安定さん(佐野史郎キャスティングの 江頭安宗のモデル)も長崎出身なので、その関係の縁談なのでしょう。
そういう相手がいての朝鮮渡航なら、籠手田淑子の父も安心だったのではないでしょうか。
籠手田淑子は、ハーンと出会った頃には、松江の婦人会会長を務めていた、ということですので、ハキハキとしたリーダーシップのある女性であることが想像されます。
気位が高いだけのお嬢様ではなさそうです。
「ばけばけ」りよ、英語の実力は?
「ばけばけ」の中では、りよさんは非常に流暢な英語を話していましたね。
しかし、ドラマのりよ は最初から英語ができたわけではありませんでした。
ヘブン先生と出会い、意思の疎通を図りたいと思ったため、錦織友一について英語を必死に覚えていましたね。
りよ さんは短い期間に英語を覚えることができました。
そこから、見るりよさんは、並々ならぬ努力の持ち主ですね。
それと同時に、恋愛は語学学習の力になる、ということかもしれません。
実在の 籠手田淑子さんが英語を話しせたかは、残されている史料からは伺えませんが、
のちに朝鮮半島にわたり、日本語などを教える立場になるのですから、向上心が高い女性であったことが、史実から察せられます。
その向上心豊かな面を、英語習得、ということでドラマで表しているのだと思います。
りよ 役にキャスティングされた、北香那さんも一生懸命短時間で英語を覚えたそうです。
まとめ
「ばけばけ」江頭りよ のモデル 籠手田淑子は、実際は、テレビで見る以上に、活動的で向上心の高い女性です。
ドラマではヘブン先生に恋する、昔のお金持ちのお嬢様、というイメージですが、実は気遣いができる、素敵な女性なのです。
のちに朝鮮半島まで行き、夫とともに、教育にあたるところは、頭がさがる思いです。
そんな知らない土地で生活するには、少々気が強い方がいいのかもしれません。
この気の強さが、のちに、ドラマでどう生かされるのか注目しましょう。

コメント