マクベス、藤原竜也出演のシェイクスピア劇。面白さは?吉田鋼太郎演出。ストーリー。実在の人物。なぜ書いた?音楽が。登場人物たち。上演時間と開場。

シェイクスピアの芝居「マクベス」、今度は、藤原竜也が主役、マクベスです。

演出は、吉田鋼太郎。彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd.の芸術監督です。

マクベスというと、老齢にさしかかった役、というイメージですが、藤原竜也さんはまだ若いイメージです。

どんな、芝居になるでしょう。

ここでは、藤原竜也、吉田鋼太郎の意気込みを紹介するとともに、「マクベス」の面白さ、をストーリー、歴史上の事実とともに、お伝えします。

マクベス、藤原竜也は主演について、どんな気持ちで?

藤原竜也さんは、10代の頃からシェイクスピアの言葉の持つ魅力を、全身で感じてきた、と言っていました。

藤原竜也の心構えは?

マクベスについても、「言葉」を非常に重く考えていることがわかります。

マクベスは、スコットランドの国王の物語です。

まだ若い藤原竜也に、マクベスのような影のある役ができるか?と思うのですが…

また、藤原竜也は過去に、シェイクスピアの芝居では一番人気があるといわれる、ハムレットを蜷川幸雄の演出で、2015年に演じています。

ハムレット役も、藤原竜也には当時若すぎる気がしましたが、それでも演じきり、役者、藤原竜也の新たな魅力が発揮されました。

そんな彼も、もう43歳ということで、ここで新たな挑戦をするのにちょうど良い頃でしょう。

マクベスについてみる私たちのイメージは、壮年期あたり?ですが、案外、藤原さんの実年齢に近いのですね。

藤原竜也さんは、マクベスの役について、次のように考えておられ、特にシェイクスピアの、セリフ回しについて、このように思っておられます。

 

「よし、来たか!」という感じ。頭の中で想像していた台詞を、自分が実際に言う年になったのかという気持ちです。「Tomorrow Speech」と呼ばれる有名な台詞にしても、世界中で知られています。それを自分が口に出しているのは、不思議な気がします。「明日、また明日、また明日」なんて、マクベス格好いいな、どう言おうかなと思っていました。でも、稽古場に入ったらあまりにも大変で、そんなことはどうでも良くなりました(笑)。

言葉、言葉、言葉なんです、シェイクスピア作品というのは。演劇、芝居、演技はどれもそうだと思いますが、言葉が全てであって、正解はこの書かれた戯曲にしかありません。ですから、我々はこの壮大な、世界が一瞬で変わる演劇にお客様を惹き込まなければいけない、台詞を的確に伝えなければならないと思っています。

確かに、シェイクスピアのせりふはむずかしく、本を読むときにその真意をどう考えてて良いものか、わからなくなる時があります。

案外、素直に受け取った方がいい場合もあるような気がしてきました。

若々しくみえ、ハンサムな藤原さんですが、本人同様、魅力的なマクベスになると思います。

藤原竜也さんのいう、「Tomorrow speech」とは?

「マクベス」第5幕第5場のセリフ

明日、また明日、そしてまた明日と、
記録される人生最後の瞬間を目指して、
時はとぼとぼと毎日の歩みを刻んで行く。

そして昨日という日々は、阿呆どもが死に至る塵の道を
照らし出したにすぎぬ。消えろ、消えろ、束の間の灯火!

人生は歩く影法師。哀れな役者だ。

新訳 マクベス 第5幕第5場 河合祥一郎訳 角川文庫

マクベス内で、妻を亡くし、敵が迫ってくるところで言うセリフです。

人生を劇場に例え、そこに生きる人間を役者に例え、「影のようにはかない存在」と言っています。

特にマクベスは夫人を亡くし、心の感覚が麻痺したような状態で話している自分を、「影」に例えているのです。

マクベスの面白さとは?

マクベスは、悪役のドラマのように思えます。

しかしただの悪役ではなく、マクベス本人には内面に様々な葛藤を持ち、それが絶えず、セリフとなって表面に現れてきます。

観客は、そんなシーンを見て、藤原竜也さんのような端正な顔立ちの人物が、こんなに激しい感情を内面に持つのか?と驚き感動します。

一人の人物が王位を夢見て、王を殺してまで王位についたものの、その王位を完全に守り通すことはできなかった、という物語です。

ごく普通の領主・将軍が、貴族と生まれたからには、王位に憧れないものはいない、という深層心理を描き出したドラマだと思います。

ですが、その野心は長続きしない…これが悲劇なのです。

「マクベス」で、吉田鋼太郎の求めるものは?

吉田鋼太郎さんのシェイクスピアシリーズは、演出家 蜷川幸雄さんの意志を継ぐシリーズです。

吉田鋼太郎さんが芸術監督をつとめます。

今回、吉田光太郎さんが目指したのは、『新しいシェイクスピア』と、そうご本人が語っておられます。

それは 深いマクベス、を描きたい、と私には聞こえてきます。。

「深いマクベス」?とは?と思うのですが、占いに人生をかき回されて、いや占いだけのせいではないで何かを描きたかった、と言うことです。

マクベス本人の心の中には、「王になりたい」そんな欲求があった、ということが劇中から感じさせるのも演出の一つですね。

藤原竜也さんと新しいマクベスを作り上げるために、次のように感じておられます。

僕自身今までに2回、マクベスを演じているんですが、何とも言えない手ごたえのなさを感じるわけです。なぜだろうと考えたとき、マクベスはただ権力が欲しくて、野心満々で王になった……なったものの、日々後悔に悩まされ、だんだんと狂人のようになっていき、滅びていく。このストーリー、あまりにも単純すぎないか? いわゆる歌舞伎の世話物的な夫婦の愛がある。そこに殺人があって血が流れ、本人は後悔して、人生とはこんなものかと見栄を切って拍手喝采……そういう見方もアリかもしれない。けれど、僕はマクベスを演じてみて、どうしてそうなるのか、梯子に手をかけて昇れていない気がしたんです。今回は、マクベスの行動、台詞ひとつひとつにリアリティを持たせ、理由を見つけてから芝居に入りたいと思っています。果たしてシェイクスピアがそこまで考えていたかどうかはわからないんですけどね。僕らで謎解きをして、その解釈にそって、皆さんについてきてもらう。そういうやり方になると思うんです。『マクベス』には、きっとまだ何か隠れてるんじゃないかと。

吉田鋼太郎さんは過去に2度、「マクベス」のタイトルロール、マクベスを演じておられます。

そのときに、手ごたえを自分の身に感じられなかった、ここが今回の演出のきっかけのようです。

もっと、深みのあるマクベスを出したい、と思っていられる感じがします。

そして今回は、3人の魔女の一人で登場します。

芝居では、魔女の予言で、マクベスは人生の転期を迎える。

魔女に踊らされるマクベス、ある意味、演出によってマクベスがどうにでもなる、と言うことのメタファーでしょう。

それはある意味、一か八かの、マクベスに人生の賭をさせた、と思われます。

マクベス、シェイクスピアではどんなストーリー?

マクベスは、シェイクスピアの作品です。

順を追って、ご紹介しましょう。

魔女の予言

スコットランドの勇将マクベスとバンクォーは戦場で勝利し、帰路で3人の魔女に出会います。

魔女たちはマクベスに「グラミスの領主、コーダーの領主、そして未来の王になる」と予言し、バンクォーには「王にはならぬが王の父となる」と告げます。

間もなく、マクベスがコーダーの領地を与えられ、予言の一部が現実になったことに驚きます。

ここは第1幕で、魔女が出るなど、かなり不気味さを感じさせます。

しかしこの魔女の予言が、芝居をそのものを支配しているので、見逃せないところです。

 ダンカン国王の殺害

マクベスは野心に取り憑かれ、妻マクベス夫人の後押しもあり、ダンカン王を自宅に泊め、夜に暗殺します。

罪を隠すため、彼は王の側近にも罪をなすりつけて殺します。

この時、ダンカン王の息子たちは逃げ出しています。

王位はマクベスの手に渡ります。

このシーンでは、主役のマクベスよりも、妻マクベス夫人のほうが、ものすごく怖いです。

芝居ではマクベスが悪役の主役、というイメージがありますが、本当に恐ろしいのはこの妻、なのでは?と思わせられます。

不安、そしてさらなる殺人

王になったマクベスですが、魔女の予言が気にかかり、バンクォーとその息子フリーアンスを脅威とみなします。

彼は刺客を送り、バンクォーを殺させますが、フリーアンスは逃亡します。

バンクォーの亡霊が宴の場に現れ、マクベスは取り乱し、周囲に疑いを抱かせます。マクベスは気が狂った、と。

というのもこの亡霊は、マクベス以外の人に見えないので、マクベスは追い詰められた気分になります。

マクベスの様子を夫人が取りつくろいますが、マクベス夫人の方も不眠に悩まされていました。

罪を良心というものが、この物語のもう一つのテーマなのでは、ということが感じられます。

魔女の新たな予言

不安に駆られたマクベスは再び魔女のもとを訪れます。魔女たちは以下の予言を告げます:

「マクダフを警戒せよ」

「女から生まれた者にはお前を倒せない」

「バーナムの森が動かない限り、お前は無敵だ」

これに安心したマクベスは、脅威とされたマクダフの一家を惨殺します。

この魔女の予言に、マクベスは再び惑わされることになります。

マクベス夫人の狂気と死

マクベス夫人は罪の意識に耐えられなくなり、夢遊病に陥って「手についた血が落ちない」と言いながら狂い、死に至ります。

マクベス夫人の死は、マクベスにも衝撃を与えます。

自分のこれまでの行為の、ただ一人の理解者を失ってしまったのですから、この時のマクベスの心の動きが、芝居を見る上で、大切だと思います。

また、マクベスの苦しみをいかに表現できるか、これが役者に対する注目点でしょう。

 マクベスの最期

マルカム(殺されたダンカン王の息子)とマクダフらがイングランドから軍を率いてスコットランドに攻め込みます。

兵士たちは身を隠すため、バーナムの森の枝を持って進軍し、森が動くように見えるという予言が実現します。

最終的にマクダフがマクベスと一騎打ちし、「自分は母の胎を切り裂いて生まれた(帝王切開)」と告げて、予言を超えてマクベスを倒します。

マルカムが王となり、物語は終幕します。

マクベスを、なぜシャイクスピアは書いたのか?

一言で言ってしまうと、シェイクスピアはジェームズ1世のご機嫌取りをした、というわけです。

もうエリザベス1世は亡くなっていて、スコットランド出身のジェームズ1世が王位についていました。

その国王は魔女裁判や予言に興味を持っていた。

国王の気に入る、作品を書くのが、人気作家のつとめの一つでした。

そこで、シェイクスピアは王の好みに合わせ、スコットランドを舞台にしたドラマを描いたわけです。

歴史上では、悪役ではなかった王 マクベスがなぜ悪役になってしまったかというと、劇中の登場人物、バンクォーこそが、ジェームズ1世の先祖にあたるからです。

と言っても、スコットランドで信じられているだけで、確信できる史料はありません。

でもシェイクスピアの時代ではジェームズ1世の先祖、として通っていました。

また、当時は、王権神授説というものがヨーロッパ中の王室で支持されていた説であり、国王に反乱を起こすことは、罪である、とされていました。

ここでは、ジェームズ1世の王権を完全なものにするために、王位を狙うものを「悪」としなければならなかったからです。

マクベスは、実在した?

マクベスは実在のスコットランド王です。当時はアルバ王国と呼ばれていた国です。

時代は11世紀、在位は(1040年〜1057年)です。

スコットランド王 ダンカン1世を倒して王位につきました。

マクベスについては、スコットランドの歴史に書かれています。

歴史を見ると、マクベスは比較的良い国王だったようで、芝居のような悪役的な要素はあまりみられません。

マクベスの生まれは?

マクベスは貴族の出身で、父フィンドレーグ(Findlaích)はモレー(Moray)地方の領主でした。モレーは現在のスコットランド北東部にあたり、当時は半独立状態の強力な領地です。

母はスコットランド王家の血を引いていたとも考えられており、マクベス自身も王位継承権を持っていました。

マクベス、どうやって国王になった?

マクベスは1040年、当時のスコットランド王ダンカン1世を戦いで討ち取り、王位に就きました。

シェイクスピアのような暗殺ではなく、正規の戦争による決着だったのですね。

ダンカン1世の治世は不安定で、多くの反発を招いており、マクベスの即位には一定の支持もあったとみられます。

マクベスはどんな王だった?

マクベス在位17年の間、比較的平和で安定した統治を行いました。

キリスト教を保護し、1050年頃にはローマ教皇に会いに行っています。

ローマ行きがかなったということは、マクベス王はかなり安定した政権を持っていた証拠です。

当時としては珍しく、宗教的・文化的な指導者としての役割も果たしたとされます。

マクベスの最後は?

マクベスは、芝居と同じく戦死でした。

1054年、ダンカン1世の息子マルカム(後のマルカム3世)がイングランド王エドワード懺悔王の支援を受けてスコットランドへ侵攻してきたのです。

1057年、マクベスはランファナン(Lumphanan)の戦いで敗れて戦死。その後、継子ルーラッハが一時的に王位を継ぎましたが、すぐにマルカムに討たれました。

マクベス、登場人物は?

マクベスの登場人物とその関係を、ここに並べてみました。

  • マクベス:本作の主人公、スコットランドの貴族・将軍で、地方領主。魔女の予言から国王になるう野心を持ち、王を倒し、国王になる。
  • マクベス夫人:マクベスの妻。夫をそそのかし、ダンカン王の暗殺を計画する。
  • ダンカン王:スコットランドの王。マクベスに信頼を寄せるが、後に暗殺される。
  • マルコム:ダンカン王の長男。父の死後、イングランドへ逃れ、マクベス打倒の軍を率いる。
  • ドナルベイン:ダンカン王の次男。父の死後、アイルランドへ逃れる。
  • バンクォー:マクベスの友人で将軍。魔女から「子孫が王になる」と予言される。
  • フリーアンス:バンクォーの息子。父の死後、逃亡する。スコットランド王家の先祖とされている。
  • マクダフ:ファイフの領主。マクベスの暴政に立ち向かい、最終的に彼を討つ。
  • マクダフ夫人と子供たち:マクダフの家族。マクベスの命令で殺害される。
  • 三人の魔女:マクベスとバンクォーに予言を告げる。マクベスは魔女の予言に左右される人生を送る。

登場人物とその関係を見ると、マクベスはかなりの、悪役に見えますが、全編を通して見ると、魔女の予言に踊らされてしまった、マクベス像が見えてきます。

マクベスの、音楽 新たな試み?

マクベスの芝居の、音楽監督を務めるのは、雅楽家でもあり、ミュージシャンである、東儀秀樹さんです。

東儀秀樹さんご自身も大変、音楽制作に入れ込んでようでして、ツァー中も機材をホテルに持ち込んでの作曲。

全部で 70曲ほど作られたようです。と言っても実際に使われるのは10曲ほど、だとか。

どのような曲ができあがり、舞台でどのように使われるのか、上演前では、なんともいうことができないのですが、楽しみです。

雅楽の要素は入ってくるのでしょうか。

私は入っている、と思うのですが。そうなると、この音楽は、新たな試みになるのではないか、と思います。

マクベス、上演時間は?

「マクベス」の上演時間は、合計で3時間10分。2幕ものの芝居です。

1幕 95分 休憩 20分。2幕 75分。(多少変更の可能性があります)

開場は、開演の30分前です。

マクベス、上演会場は?

埼玉県の、彩の国さいたま芸術劇場ホールを皮切りに、

彩の国さいたま芸術劇場 2025年 5月8日〜25日(開演時間は、12:30 ですが、5月10日、17日、24日は 12:30の他に 17:30の公演もあります)

仙台銀行ホールイズミティ21大ホール  2025年5月30〜6月1日

刈谷市総合文化センター 2025年6月6日〜8日

広島文化学園HBGホール 2025年6月12日〜14日

福岡市民ホール大ホール 2025年6月20日〜22日

梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ(大阪) 2025年6月26日〜30日

いずれも 12:30開演ですが、土日だけ、12:30と17:30の2回公演があります。

まとめ

シェイクスピアの芝居は、難しいと言われています。

確かに時代背景が古く、使われている英語は難しいものですが、意外と人間の本質がテーマになっているため、時代がどう変わろうとも、今の私たちの心に刺さってきます。

マクベスも、一見悪役に見えるのですが、占いに惑わされ、自分の心のうちを正確に当てられ、野心を持った、ところが原因です。

運命に囚われてしまった悲しい人物であります。

そんな悲しい人物がどう演じれているのか、それを見るのが観客の楽しみの一つでもあります。

芝居からは、他にもたくさん発見があります。

芝居の理解のために、原作を読むのもいいかと思います。

本をじっくり読むのって、時間がなかなかありませんね。

そのために、下記に貼った本、これを使って速読を試みるのもオススメです。

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