花の井はついに、五代目瀬川を襲名します。
その襲名で、五代目瀬川は江戸中に知れ渡る遊女となります。
遊女の頂点に上り詰めたところで、鳥山検校という大金持ちに身請けされますが、それが悲運の始まりです。
花の井、こと五代目瀬川を襲った悲運について、調べました。
花の井(五代目瀬川)遊女としてのその後はどのように?
花の井が、の人気について、「べらぼう」蔦重(つたじゅう)との仲については、こちら。
5代目瀬川(せがわ)になった、花の井は、江戸でその名前が知れ渡るほど人気が出ました。
蔦重に関しては、こちらをお読みください。
花の井、五代目瀬川になる理由は?
「べらぼう」の流れでは、蔦重が「吉原細見」の新刊に合わせて、花の井が五代目瀬川になっています。
新刊がでる時には、襲名の遊女名が載っていると、売れ行きが上がるからです。
それを知って?花の井が、5代目を襲名したというのです。
これは、ドラマだからこそ、花の井の蔦重に対する、切ない思いが感じられるのですが。実のところは伝わっていない話なので、上手い演出に落とし込めたと思います。
遊女が名のある伝説の花魁の名前を引き継ぐ、というのは名誉なことでした。
稼ぎが増えるというのは、本人と同様、その名のある遊女を雇っている店も、稼ぎが増えます。
ということは、本人だけの思惑でなく、雇い主(松葉屋)の思惑が動いていた、と考えられるでしょう。
それと同時に、花の井の年齢的なことを考えると、自分の値段を高く釣り上げる、やり方も必要だったと思われます。
これも五代目瀬川を引き継ぐ、一つの理由だったのでしょう。
花の井、5代目瀬川となった後は?
花の井は、瀬川という、有名な遊女の名前を5代目として引き継ぎ、江戸中にその名前を知られることになります。
花の井(五代目瀬川)が身請けのことについて、すこしは考えたと思います。
売れっ子になればなるほど、身請けする時に、身請け料は上がりますから。
それは江戸時代では、遊女は10年勤めることができればいい方、といわれたぐらい、その就業可能年数は少ないからです。
花の井が、五代目瀬川になったのは何年ごろか、はっきりと書いてある史料はありませんが、明和の大火が1772年、身請けされるのが1775年、とするとその間は3年しかありません。
明和の大火から5代目襲名までそれほど、経っていないことが想像されます。わずか数ヶ月、とも言われています。
また、当時の女性に対する世間の認識を考慮すると、花の井(5代目瀬川)の身請けの年齢は25歳前後、かな?と考えられます。
花の井(五代目瀬川)、鳥山検校に身請けされる!
五代目瀬川は、有名な名跡を継ぐ花魁となって、1775年に、身請けされます
身請け、というのは、遊女が高額で、特定の人に売られる、ということです。
遊女は皆、借金の方(かた)として、遊郭に売られてくる人ばかりでした。
借金には利子がついて、莫大な金額となり、一人の女性が生涯の大半を遊郭で働かないと返せないほどです。
身請け、というのは、その遊女を気に入ってくれて、本人の代わりに借金を払う代わりに、その遊女を自分の手元に置くことを言います。
その身請け金とは、借金の金額にプラスアルファがつき、遊女に人気があればあるほど、身請け金は高額になっていきます。
大抵の場合は、花魁を引退し、妻か、妾になります。
江戸時代は、地位や経済力のある男性は、妻以外に女性と囲うのは普通のことでした。
五代目瀬川を身請けしたのは、鳥山検校(とりやまけんぎょう)という人物。
鳥山検校は、盲人で、検校という名前おは盲人に与えられた、最高の位です。
五代目瀬川の身請け相手は、地位も名誉もお金もある人なのです。
鳥山瀬川事件と言われたのはなぜ?
鳥山検校が5代目瀬川を身請けした話は、「事件」とまで言われたほどでした。
なぜかというとその身請け金にありました。
なんと、1,400両、現代のお金に換算すると約1億4000万円。
これはすごい!余程の大金持ちでないと、出せない金額ですね。
花の井のいた江戸時代でも、破格な価格と言われました。
というのも、当時の遊女の身請け金の平均は、約40両(現在の価値で、約200万円)と言われています。
が、この金額は、位がそんなに高くない遊女の場合、といいますから、有名遊女なら、100両〜1000両あたり?せいぜい数千両?
それにしても、億がつくのはやはり事件並み。
このあと、鳥山検校ととある大名との間の金銭トラブルで、鳥山検校は、幕府から目をつけられて捕まるのですが、この1億4000万両が、政府の目を引いたのかもしれませんね。
花の井(5代目瀬川)と鳥山検校の仲は?
遊女の身請けとは、遊女が勤めている店が、自分の店の利益になるかどうかを決めて身請けさせる相手を決めるので、遊女には選ぶ権利はありません。
ですが、大物の花魁となると、ある程度の希望を告げることはできました。
断ることで、身請け料を引き上げることもできた、というから駆け引きでもありました。
でも、こんな1億料を超える大金を見せられると、断りづらいかもしれませんね。
イヤイヤながら、花の井が鳥山検校のもとに行ったかどうかは、今日の私たちには知ることができません。
大河ドラマ「べらぼう」の中では、それほど嫌と思っていなかったように書かれています。
鳥山検校、という人物もそんなに悪辣な人物に描かれていない感じですので、花の井は好感を持つことが考えられます。
「べらぼう」の設定では、鳥山検校は金の力で、五代目瀬川を自分のものとしたのに、瀬川の心だけはどうにもできず、どこかに蔦重の存在を感じる、というものです。
三角関係ですね。
5代目瀬川の話は、身請けされるとすぐに物語(戯作)となります。
のちに 十返舎一九(じっぺんしゃいっく)も、鳥山瀬川事件を物語にし、その出版には、蔦重も加わりました。
蔦重、転んでもただで起きない人ですね。
花の井(五代目瀬川)の悲運とは?
身請けされるものの、五代目瀬川には悲運が襲ってきます。
五代目瀬川(花の井)を、身請けした鳥山検校は、実は悪徳と高利貸し、と言われている人なのです。
瀬川が、身請けされる時期と、鳥山検校が捕まる時期がほとんど重なってしまった、ところから悲運が始まります。
花の井(五代目瀬川)、鳥山検校の追放でどうなる?
大物、で大金持ちなのですが、悪徳、と言われるからには、その報いを受ける時が来ます。
鳥山検校は大金持ちなので、五代目瀬川は、裕福な生活を送ることができるはずです。
想われての身請けだから、大事にもされたはずです。
なにしろ、鳥山検校が、市原隼人さんにキャスティングされているので、単に金を物を言わせる「嫌なヤツ」に終わらないと思います。
身請けされて3年後、1558年、鳥山検校は全財産を没収され、江戸から追放され、花の井(五代目瀬川)も、鳥山検校のところから追い出されるはめになります。
ここから、五代目瀬川の消息は不明です。
花魁時代を含めて、これまで、金銭的に恵まれた生活を送ってきた、五代目瀬川(花の井)は、たちまち生活に困るようになったことは、簡単に想像できます。
どこかで、ホームレスのようになってしまっている、なんて可能性も考えられます。
「べらぼう」的には、幼馴染の蔦屋重三郎が探し出して、保護するなんて結末も予想したいです。
花の井(五代目瀬川)に関する戯作
五代目瀬川は、行方知らずになっても、その噂は絶えませんでした。
一説では、死亡説も出たほどですが、そうでない物語が書かれました。
鳥山検校が追放される時に、五代目瀬川は家出、武家の奥方になった、大工の妻になった、とさまざまな憶測が出回ります。
誰かの妻になるにして、武家と大工とはすごく違うのですが、この噂がどうして出てきたのか不明です。
また、当時はやった、戯作(げさく)のネタにもなっており、戯作者「田螺金魚」(たなしきんぎょ」が、洒落本「契情買虎之巻」(けいせいかいとらのまき)を書きます。
この洒落本は、実は、花の井(五代目瀬川)が身請けされた、すぐ後に出された本です。
その内容は主人公は五代目瀬川、遊女たちの内情、生活、会話などを集めたフィクションにしたものです。
その中では、五代目瀬川と、客との悲恋物語が題材となり、人気を集めました。
さらに、五代目瀬川のその後まで書かれていました。
この本は「人情本」と呼ばれ、庶民の恋愛物語となり、人気を集めていきます。
五代目瀬川の話が、何度も洒落本になって、出てくる、ということは、五代目瀬川の人気がいかに高かったか、を示しています。
まとめ
五代目瀬川 こと花の井 をみてみると、悲劇の人に見えます。
身請けしてくれた、鳥山検校が追放になったのち、花の井(五代目瀬川)がたどる人生を考えた場合が、かわいそう、と見えますが、
蔦屋重三郎と再び出会えるか、蔦重とどんな展開になるか、が楽しみです。
それに「べらぼう」での花の井の人気を見ると、これで終わってはならない人ですね。
そういう希望を抱いているのですが。
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