サリエリは作曲家、「アマデウス」に出演。ヨーゼフ2世が雇い主。曲の特徴と才能と人柄?お菓子好き。ベートーヴェンの先生でモーツァルトとも仲良し。最後は?後世の評価?

サリエリは映画「アマデウス」で、モーツァルトのライバル作曲家として登場しました。モーツァルトと同時代の作曲家として、どんな曲を書いたのか、モーツァルトとサリエリとの違いはどこにあったのでしょう?

モーツァルトの死因に関係があると言われていますが、反面モーツァルトと仲がよかった記録もあります。実際はどうだったのでしょう。

サリエリはヨーゼフ2世、オーストリア皇帝に仕えてました。またベートーヴェンの教師を務めていたこともあります。これには注目したいです。

映画「アマデウス」にもありましたが、サリエリはお菓子が好きなようです。甘いものに目がない、どんなお菓子があったのでしょうか?

サリエリの最後は、映画では精神病院で終わっていました。本当のところはどうだったのでしょうか?モーツァルトの死因は風評被害だったかも。

没後約200年近く経った現代でのサリエリの評価はどうなのでしょう?

 

サリエリ、映画「アマデウス」で知名度アップとなる作曲家、才能ある作曲家?曲の特徴は?

アントニオ・サリエリはヴェネチア共和国出身。1750年~1825年に生きた作曲家です。

幼い頃から音楽に親しみ、音楽の勉強をしていましたが・10代半ばで両親を亡くしたため辛い少年時代を送ったことは簡単に想像できます。

才能の人、なのではなく勉強を続け、努力の人でした。サリエリがずっと培ってきた努力が報われ能力が花開いた、そんな人です。

勉強ぶりが認められ自分の師匠のウィーン行きに同行しました。やがてウィーンの宮廷では実力が認められて行きます。丁度、その時まで宮廷楽長を務めていたグルルックがパリにいき、次の宮廷音楽長がサリエリの直接の先生、そしてその先生が引退する際、サリエリが次の音楽長に推薦され就任しました。

サリエリの作品はオペラが中心でした。サリエリにとって器楽曲作品はあんまり重要ではなかったのです。オペラでのアリア、重唱、オペラに付随する器楽曲、これらを極めて美しく書くことをもっぱらの務めとしていました。さらに演劇的センスも備えていました。

全体的にサリエリの音楽は、穏やかな美しさで一貫しています。当時の貴族社会にマッチした品格を感じさせる音楽と言っていいでしょう。それだからこそオーストリア皇帝ヨーゼフ2世はサリエリの音楽をこよなく愛し、生涯話したがらなかった、と言います。

しかし、イタリア人だったため生涯ドイツ語はきちんとできないままでいました。

サリエリの人柄は? ベートーヴェンはサリエリの弟子だったことも!そして大のお菓子好き

サリエリの人柄が表れているところ。それは他人の面倒見の良いところでした。宮廷音楽師であるに加えて楽団の管理、運営も担っていました。そして団員達の福利厚生にも心を砕いていました。

また、慈善活動にも熱心で慈善コンサートも行っていました。また。経済的に困っていた弟子からは謝礼を受け取らなかったと言われています。

ベートーヴェンもサリエリの弟子でした。サリエリは音楽教育者としての手腕も優れており、べートーヴェン以外にもモーツァルトの息子のフランツ・クサヴァー・モーツァルト、ジュスマイヤー(モーツァルトのレクイエムを完成させた人)、フランツ・シューベルト、チェルニー(ピアノ教則本で有名な)などがいます。

ベートーヴェンの曲の一つ「ウェリントンの勝利」の初演では副指揮者を務め、砲弾の音響などを手がけていました。こんなところにも後進を育てる、と言うサリエリの真面目な性格が表れています。

サリエリの弟子だったこともある、作曲家ハイドンがオラトリオ「天地創造」の初演で、ピアノを担当したのがサリエリだった、という記録があります。

サリエリは実は面倒見の良い、親分肌だったのかも。

サリエリは、お菓子が大好きだったと言います。映画「アマデウス」の中でも、チョコレートを嬉しそうに眺めて口に入れるシーンがいくつか見られました。

お菓子は当時贅沢品。チョコレートの原料、カカオ希少価値でお値段も・・・超高級品。お砂糖だって貴重だったため、お砂糖をたっぷり使ったカカオのお菓子なんていうものは、上流階級しか口にできませんでした。

サリエリはガンバって成功して上流階級の仲間入りしたものだから、お菓子に対する憧れも強いのでしょうね。サリエリにとってはもう天国に上り詰めるぐらいの美味しさだったのかもしれません。

サリエリはモーツァルトと仲良しだった?共作もあった!

モーツァルトがウィーン宮廷に現れまたのは、1781年、モーツァルト25歳、サリエリ31歳。

サリエリは映画「アマデウス」によるとモーツァルトの才能を妬み、音楽的にも対立したと言います。実際はどうだったのでしょう?

モーツァルトがウィーンに来た時、サリエリはすでに宮廷音楽長の地位にいました。すでに確固たる地位についている、またすでに経済的にも十分な報酬を得ているためわざわざ、モーツァルトを妬み妨害をするほど、ガツガツしていませんでした。

また、当時の音楽事情はサリエリの作曲するタイプの音楽が好まれており、モーツァルトの音楽は形式的などの面で革新的過ぎて、受け入れられなかったのです。つまりこれまでの音楽の慣習にとらわれず個性的であり過ぎた、と。映画「アマデウス」ではサリエリがその革新的なところに感動して驚くシーンがありました。そして、いまはこれは受け入れてられないだろう、という意味のセリフも言っていました。

ところがサリエリとモーツァルトが仲良しであったかもしれない、そんなエピソードがあるのです。

1785年頃の曲「トロフォーニの洞窟」でのオフェーリアという役を演じるはずのソプラノ歌手が、病気で一次的に声が出なくなってしまった。その歌手が全快して舞台に戻って来た時の、お祝いとして「オフィーリアの健康回復に寄せて」というチェンバロとソプラノのための曲が書かれました。4分ほどの曲で3部構成になっています。一部づつ、サリエリ、モーツァルト、コルネッティという作曲家との3名で書きました。

現在この曲の楽譜を覗いてみると、どれも歌えそうな曲ですよ。

また、サリエリとモーツァルト共作と思われる曲も2016年にプラハで発見されています。

サリエリの風評被害・・・モーツァルトの死因は?

サリエリがモーツァルトを死に追い込んだ・・・映画「アマデウス」ではそうなっていましたね。またサリエリがモーツァルトを毒殺した・・・そんな話もあります。

でもサリエリ犯人説は、風評被害であったのです。

サリエリより少し遅れて生まれた、イタリアのオペラ作曲家ロッシーニ。ロッシーニはサリエリに面と向かって「モーツァルトを毒殺したか?」と聞いたのですが、サリエリははっきりと否定しました。

後に、サリエリが病気で苦しんでいた時、サリエリの弟子の一人が、「先生はモーツァルトを毒殺した噂がありますが、本当ですか?」と聞いたときにサリエリは「やっていない」と答えましたが、逆に疑惑を抱いた弟子は、自分の日記に「サリエリがモーツァルトを毒殺したに違いない」、と書いたとところから毒殺説が浮上して来ました。

モーツァルトの葬儀ミサで、ミサを主催したゴットフリート・ヴァン・スヴィーテン男爵の依頼によりモーツァルトの遺作「レクイエム」を指揮した、というエピソードがあることもサリエリのがモーツァルトにミサ曲作曲を密かに依頼し、自分の作品として発表しようという陰謀説ができたのかもしれません。

ウィーン宮廷では、そもそもサリエリとモーツァルトの対立は、ドイツ語圏の陰謀か?とも言われています。モーツァルトがドイツ語圏ですから、イタリア系のサリエリに阻まれて思うような出世ができない、などというやっかみから流れた噂とも言います。

ドイツ派とイタリア派の対立から、もともと文化が優れていたとされるイタリアががウィーン宮廷で幅をきかせていました。その反動としてドイツ派が勢力を得るために、サリエリを使ってイタリア派を貶めす手段をとった、という見方もあります。

またモーツァルトの父、レオポルドがステージパパぶりを発揮しすぎて、「息子がなかなか良い地位につけないのはサリエリがいたからだ」という意味の手記からもサリエリ悪人説の一つの理由にもなってました。

サリエリは、とんだ風評被害を受けてその名誉が傷つけられてしまいましたね。

サリエリの老後は?その死因は?サリエリの死後は評価も

サリエリは、モーツァルトの死後風評被害に会い、鬱に陥りました。自殺未遂もあったようです。しかし映画「アマデウス」でみるように精神病院に収容されていた、なんていうことは決してありません。

最後は病院で迎えました。その1年ほど前から認知症に苦しみ、76歳にて亡くなりました。サリエリの葬式ではサリエリ作曲の「レクイエムハ短調」が演奏されました。

死して後のサリエリの評判はどうなったでしょう?「アマデウス」ではモーツァルトに馬鹿にされて、復讐のために汚い陰謀を企てる役どころとして描かれてしまいましたが・・・

ですが反対に映画「アマデウス」のおかげで、再びサリエリの音楽に注目が集まるようになりました。これをきっかけにサリエリの研究が進みました。

その結果、サリエリとモーツァルトは別に敵対関係にあるわけでもなかったし、むしろ仲良く音楽をつくり合う仲間だったような事実も出て来ました。

毒殺、殺人も思わぬ風評被害だったことも徐々にわかって来ました。サリエリには弟子がいました。のちの有名作曲家が大勢いたこと、またモーツアルトの息子の音楽教師であったことから、サリエリはの悪意の人ではないことが証明され、評価される時代がついにやって来ました!

サリエリの音楽は今、また演奏される機会が多くなって、CDにも収録され、YouTubeでも楽しめるようになりました。サリエリの新たな魅力がまた発見されるといいですね。

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