逃げ上手の若君、吹雪の裏切り。正体の謎は過去に。餓えの記憶。実在?かっこいい!時行との仲?高師冬になる。最後は?

アニメ「逃げ上手の若君」のなかで、北条時行に部下が加わります。

それが、吹雪、かっこいいです。

吹雪は、時行を敬愛していながら、なんらかの力に引かれるように時行を裏切ります。

その理由は?

オリジナルキャラクターでありながら、最後は実在の人物になる、という謎めいた存在です。

ここでは、架空の人物でありながら、ストーリーに大きな影響を与える、吹雪という人物を、物語から、徹底的調査してみようと思います。

どうぞ最後までお読みください。

逃げ上手の若君、吹雪 裏切る

「逃げ若」(逃げ上手の若君 の省略形)で、途中から、北条時行の部下になった人物です。

北条時行に、尽くしているかと思いきや、裏切り者だったわけなのですね。

吹雪はなぜ北条時行を裏切った?

ストーリーでは、吹雪は、足利尊氏のの神力(じんりき または しんりき)にとらわれてしまった、ということです。

じゃあ、神力って何?

神通力(じんつうりき)ともいいます。それなら足利尊氏が神のような力を持っていたか?というとそんなことはありません。

吹雪、足利尊氏と出会う、一回目

アニメの中では、神がかり出来な力のように見ていますが、この力は「カリスマ性」と見た方がいいと、私は思います。

吹雪は最初から、北条時行を裏切ろうと思って、近づいたわけではないのです。

最初は、北条時行と一緒に、足利尊氏を滅ぼす、殺害するという一緒の願いを持っていました。

それが、吹雪と時行が、足利尊氏を暗殺しようとして、失敗したところで、吹雪は足利尊氏の「神力」というものにとらえられてしまったのです。

吹雪と時行の目には、足利尊氏は強いオーラを放ち、まるで鬼のような姿に見えたのでした。

しかし吹雪の目にだけは、足利尊氏は、恐ろしい姿ではなく、むしろ鬼の口の中で、仏が後光で輝いているように見えました。

吹雪と足利尊氏、二回目の出会い、そして闇堕ちに

流石に、足利尊氏、室町幕府を起こす人だけのことはあります。

そんな足利尊氏と吹雪との次の出会いは、1335年、時行たちが、鎌倉幕府を足利尊氏から取り戻す時の出来事です。

ここで、吹雪は再び、足利尊氏の「神力」に引き寄せられてしまいました。

この時現れた足利尊氏に、北条の軍は皆、尊氏に負けてしまったのです。

あるものは、降伏を、あるものは、ひれ伏すなど、北条側にとっては散々な結果でした。

この話は史実として「太平記」に書かれてますが、なぜかは不明のままです。

不明、というより、足利尊氏は人の心を掴むのが上手だったのでしょう。

「逃げ若」によると、これこそがが足利尊氏の「神力」なのです。

吹雪は、闇堕ちするように足利尊氏に引き寄せられるかのように、北条時行たちから、足利方に寝返った、というわけです。

正義の者が闇の力に吸い寄せられ、悪に変わる、これはアニメ、漫画、ファンタジーでよく見る筋書きですね。

アニメ・漫画が盛り上がる演出になります。

吹雪の裏切りを、諏訪頼重は気が付かなかった?

物語の中では、北条時行に従っている、諏訪頼重は、少しながら先を見通せる力がるという。

それなら、吹雪が、北条時行を裏ぎる、という状況が見えるはず。

ですが、頼重は何も言わないでいた、つまり吹雪の裏切りに気がついていなかった、のですね。

それはなぜかというと、諏訪頼重は、この頃、力を一時的に失っていたからです。

それどころか、吹雪・時行と足利尊氏の二回目の出会いの時、足利尊氏の力は、諏訪頼重を上回っていたほどした。

逃げ上手の若君 吹雪の正体は?

正体と言っても、作られた正体、ということになりますが。

吹雪は高師冬となった!

最初の頃は、足利尊氏の庶子(母が、正妻でない)、直冬(ただふゆ)では、と推測されていましたが。

実は、吹雪は、高師冬(こうのもろふゆ)だった、というのです。

その父は、高師直(こうのもろなお)、足利尊氏の第一の家臣、執事とも言われています。

そんな人物の息子だった、のですが、本当の息子ではありません。

高師直には、確かに師冬という養子がいましたが、漫画・アニメの世界ではすでに死んでいました。

事故で、馬に顔を潰された、という痛々しい死に方でした。

なぜ、高師直の元に、ということですが、

足利学校の責任者として、師直は吹雪を知っていました。

学校時代か吹雪は、その活躍ぶりが目立ってからです。

そのことから、高師直は、吹雪を自分のもとで使おうと思いました。

吹雪、高師直に利用される

こんな事件が伏線にあるから、高師冬の顔が違っても違和感は感じられにくかったようです。

高師直は、吹雪を見て、その変化ぶりを見て、

「こうまでハマるとは、以前にも力を浴びているか心に強い餓えがあるか」

と言います。

そして、亡くなった師冬の代わりに、吹雪を「師冬」とします。

洗脳状態の吹雪に、師直は、

「このガキになりすませ。どうせ猶子なら、弱い親族より、強い他人がいい」と言って、

吹雪に仮面をつけさせ、高師冬を作り上げます。

逃げ上手の若君 吹雪の過去

吹雪の辛い過去

吹雪は、元はと言えば、足利のもとに支えていた、下級武士の息子でした。

吹雪は父からひどくきつい訓練を受けていおり、現代でいえば、むしろ虐待でしょう。

父の方は、息子を強い武士に育てて、自分に恩返しをしてもらいたい、という考えがありました。

そのため、足利学校にいれ、厳しいトレーニングを受けさせました。

足利学校に入れたのは、高師直の遠い親戚でもあったからなのです。

その時の吹雪は、日中は足利学校でしごかれ、夜は父の暴力的な訓練を受け、苦しんでいました。

思い余った、吹雪は父親を殺して家を出る、という非常に辛い過去の持ち主でした。

吹雪が、北条時行に出会った最初の頃は、自分は足利のところにいた者である、ことを隠していました。

なにしろ、時行たちの敵で、彼らから嫌われると思っていたからです。

吹雪が行った足利学校とは?

歴史でいう足利学校というのは、鎌倉時代(平安時代という説もある)に創設された、高等教育機関でした。

場所は足利(現代の栃木県足利市)にありました。

足利学校は、作られてはいたものの、室町時代前期には、衰退していましたが、1432年に上杉憲実(うえすぎのりざね)が再び、学校としての機能を作り上げました。

ですから実際の足利学校は、吹雪や北条時行たちがいた時代より少し後になります。

吹雪、時行が戦い、足利尊氏に向かった「中先代の戦い」が1335年だから、もし吹雪が足利学校に行ったのなら、この年代は合いません。

足利学校の、勉学の中心は、儒学で、経文や史記、荘子などを教え、のちには兵学、医学も教えていました。

どちらかというと、武術というより、文学的内容を教える学校のようです。

ところが、逃げ上手の若君に出てくる足利学校は、武学中心の訓練所のような役割をしていた学校です。

武術どころか、忍びを育てる学校だったわけです。

足利家学校で、教育をまかされている人物が、上杉憲顕(うえすぎのりあき)。

学校では、文武両道のバランスを取れた人間を育てる、というものでは一切なく、戦闘の鬼と言ってもいいような、戦闘マシーン的な平時を作ることを目的としていました。

この感じは、2023年大河ドラマ「どうする家康」に出てきた、武田信玄・勝頼親子の訓練所にも似ているような気がしましたが。

逃げ上手の若君 吹雪 の持つ餓え

逃げ上手の若君 で吹雪は、二つの「餓え」を心にかかえています。

吹雪のお腹が空く「餓え」

一つは文字通り、お腹が空く肉体的な「餓え」。

吹雪は、お腹が空くと、力が出なくなり、食べる時は人並みはずれて大食いです。

なにしろ、一つの村に蓄えた食料をわずか3日で食べ尽くす、というのだから、ただものではありません。

餓えが、トラウマとして自分の中に残っているのではないかと、思えるほどです。

アニメ・漫画の中で、吹雪が食べる姿は、ちょっとコミカルに見えますよ。

吹雪が、心に持つ餓え

もう一つは、「心の餓え」。

これは、父に愛されなかった自分、いつも暴力を受けていた、ことから来ています。

認められたい、それが吹雪の「心の渇き」つまり「心の餓え」なのです。

吹雪が食欲旺盛なのも、単にお腹の餓え、だけではなく、心と身体とん両方の餓えが一緒になってしまったことではないでしょうか?

吹雪自身、何に飢えているのか、そして本当に飢えているのか、はっきり認知していませんでした。

いつも自分の内部に、満たされていものを抱えていた、と言った方がいいでしょうか?

足利尊氏が見せた「神の力」が、吹雪の「餓え」という心の隙間にうまく入り込んだ、これも裏切りの理由の一つになると、私は思います。

逃げ上手の若君 吹雪は実在?

正体は、高師冬、となると、吹雪って実在?と言いたくなりますが、違います、漫画・アニメのオリジナルキャラです。

吹雪、そのものはフィクションですが、高師冬は確かに実在します。

高師直の義理の息子として、関東で功績を上げた武将です。

吹雪とい人物は、歴史上には存在しないのですが、足利尊氏に引き寄せられて、高師直の養子 高師冬となり実在の人物となったのです。

本物の高師冬は、史実の人物ですが、途中で亡くなり、その師冬になりすましたのが、吹雪です。

高師冬の途中での死、これもまた、フィクションの事件です。

歴史に残る、高師冬は、もっと長く1351年に亡くなっています。

北条時行と、、天皇家に巻き込まれた、南北朝の戦いを戦い、南朝(後醍醐天皇側)に打撃を与えました。

逃げ上手の若君 吹雪 かっこいい

逃げ上手の若君の 吹雪 端正な顔立ちがかっこいいです。

アニメですが、イケメン。

どことなく、醒めたような視線がたまりません。片目が髪でいつも隠れています。

しかし後々、思い出してみれば、この醒めたような視線こそがこれからの 吹雪のゆく末を、暗示しているような気が、自分にはしてきます。

髪の色は白っぽい、というかアイスブルーです。

これがいかにも、吹雪という名前に相応しい色合いだと思います。

吹雪 → 寒そう→性格が冷静、または冷たい → もしかしたら敵側に回るかも?という連想が、自分の中では起こっていましたね。

吹雪のすごいところは、見た目だけではありません。

軍略についてもよく学んでおり、実戦でもその知識をふんだんに使っています。

戦況をきちんと把握でき戦術を立てることも得意とし、「逃げ若」の北条時行軍では軍師的役割を果たします。

頭だけでなく、武士としての力もなかなかなもの。

二刀流をかっこよく使いこなします。

確かに、吹雪さん、味方にすれば頼もしい、敵に回すとこわい、そんな人物ですね。

逃げ上手の若君、吹雪は時行の関係は?

逃げ上手の若君で、吹雪 は北条時行の家来となるのですが、吹雪は時行が好きだったのでしょうか?

吹雪は、自分がどんな出身であろうと。認めてくれた北条時行を、敬愛していました。

北条時行の方も、自分の信頼できる部下として、友人としての信頼を寄せ、諏訪頼重亡き後は、吹雪に対し兄のような気持ちを持っていました。

吹雪が足利の家来の出身と、吹雪が時行い告白しても、時行はなんの疑いも持たず、吹雪を受け入れました。

そんなことは関係ないと、強く言います。

吹雪はそれを聞いて、時行に王者の器を感じ、時行に忠誠心を誓いました。

この時、吹雪の目から一筋の涙がこぼれます。

吹雪も、これでやっと自分の場所が見つかった、と喜びを感じたほどでした。

当時は、下級武士の命は使い捨てだったからこそ、吹雪は自分を重んじてくれる、北条時行の考え方に心から感謝したのです。

吹雪と北条時行は、非常によい主従関係と、友情で結ばれていた関係をスタートさせました。

北条時行は、これまでは逃げてばかりいる戦術(戦術と言えるか?)を取っていたのですが、吹雪に教えられ、戦う剣術を身につけることとなります。

物語の中では、吹雪と時行の絆はかなり強いものと写りました。

足利尊氏の邪悪なオーラ如きでは、滅びないと自分は思っていたのですが、割とあっさりと吹雪は相手に囚われてしまいましたね。

それだけ、敵方の力が強いものだったのか?それとも吹雪自体の内面に、より強いものに対する憧れがあったのかどうか、これからの展開が楽しみです。

逃げ上手の若君 吹雪 高師冬としての活躍

もはや吹雪ではない

高師冬になってしまってからの、吹雪は、凶悪さがにじみでる戦い方をしています。

北条時行たちと戦うときは、仮面をつけていました。

吹雪こと高師冬は、時行の近侍(きんじ)の弧次郎(こじろう)と戦い、弧次郎(こじろう 時行の部下)に切り掛かって来ます。

その時、弧次郎は、高師冬の仮面をとってしまいます。

切り付ける時の行為は、もはや、弧次郎たちが知っていた吹雪ではありません。

その顔立ちも変わっています。まさに悪役の顔。

一緒にいた、雫(諏訪頼重の娘)は涙し、「あれはもう もとには戻れない」と悲しむのでした。

父とおなじ神力のある、雫には吹雪が、悪しき力に毒された、我欲(他人よりも優れていた)の悪臭を感じていました。

ある種の霊能力のある者は、人の性格を読み取る時に、匂いから感じることができる、というのです。

物語の悲しい瞬間ですね。

この時点で、高師冬が吹雪に戻ってくる可能性はかなり低い、ということが伺えます。

吹雪、高師冬 として歴史上の活躍

「国史大辞典」では、『高師冬、師行の子で師直の従兄弟。師直の猶子(養子)となる。左衛門尉・三河守播磨守。足利尊氏の将として活躍し、建武三年(1336年)、比叡山攻撃の参加』

とあります。

「太平記」でも師冬が参加した、戦いが書かれており、軍事的にも政治的にも優れた人物として描かれています。

残念ながら、その人間性描いたものは見つかっていません。

南北朝の戦いでも、南朝の有力武将 (きたばたけあきいえ)を討つために、大将なみの役割を果たしています。

歴史上では、養父の高師直 共々 大変活躍した武将だったのでした。

こうなると、高師冬 もはや 吹雪ではない、です。

逃げ上手の若君 吹雪の最期

吹雪がなりすました、高師冬の死

歴史の上での、高師冬の死因は自害です。

足利の内乱に巻き込まれた感じです。

足利尊氏の弟 直義(ただよし)は高師直と対立、武士たちも二つに分かれます。

吹雪 こと高師冬は高家に人間のため、直義側についた 上杉憲顕と敵対します。

上杉憲顕は「逃げ若」ではかつて、足利学校の責任者だった人物です。

ですが、 高師冬とは協力し合って、足利尊氏の息子 基氏(もとうじ)を補佐していました。

上杉憲顕と対立し敗れた 高師冬は甲斐国(現在の山梨県)まで逃れますが、追い詰められ自害しました。

高師冬の最後については、日本中世史学者 亀田俊和氏が「高一族と南北朝内乱 室町幕府草創の立役者」という書物で詳しく書いておられます。

吹雪の死 はどうなる?

吹雪は高師冬になりすましているので、死ぬとすれば、高師直のまま死んでいく、ということが予想されます。

「逃げ若」のファンたちの声からは、吹雪は最後に洗脳が解けて、再び 時行たちの元で戻ってくる、となれば、と希望しています。

けれども 「逃げ若」の作者 松井優征先生は 歴史に忠実に描いておられます。

吹雪の存在、足利学校の実態など、フィクションにした場面はありますが、必ず歴史の正道に戻しています。

現時点(2024年 8月)では、吹雪は 死亡する の説を私は考えています。

逃げ上手の若君 吹雪 まとめ

「逃げ若」の吹雪、久しぶりにアニメに、美形悪役登場という感じがしました。

ちょうど、「機動戦士ガンダム」のシャアのような立ち位置ではないでしょうか?

吹雪の流れを、ざっとまとめると、人間性に問題もある父親の元に生まれて、ひどい暴力を受けた上に、厳しい武芸学校に入れられた。

あまりの、厳しさに、父を殺し、家出。時行たちと巡り会う。

しかし、やがて足利尊氏の毒気に当てられ、闇堕ちし、時行たちを裏切り攻撃する。

そしてその最後がどうなる?というのがこれからの私たちの関心の対象になっていきます。

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