田沼意知は、田沼意次の息子です。
イケメンなのでしょうか?2025年大河ドラマ「べらぼう」で花魁 誰袖に恋心を寄せられています。
ところが、誰袖との関係は事実の可能性が低いのですが、田沼意次の性格が、誰袖との付き合いを通して知ることができます。
親の七光りと、悪口もありますが、実は、前途有望な息子だったことがオランダ人の手記から伺われます。
ここではちょっとツンデレに見える 田沼意知の魅力を、誰袖との恋物語を通して、お伝えします。
どうぞ最後までお読みください。
田沼意知って、イケメン?
「べらぼう」の中で、誰袖が、「田沼意知の顔立ちが好み」ということを言っていました。
田沼意知ってイケメンだったのか?と思い史料を探してみても、田沼意知の顔がいい、ということはどこにも書かれていませんでした。
むしろ、田沼意知の父、田沼意次の方がイケメンの評判は高いです。
父親に似ていたら、イケメンなのかな?と思っても、父に顔立ちが似ている、という表現も発見できませんでした。
このエピソードは、SNSでも取り上げられていました。
その結論を言うと、田沼意知の顔かたちが美形なのではなく、その生き方、信念といった、内面からくるものが、田沼意知の顔自体をよく見せていた、と言うことです。
つまり、内面が外見を作り上げる、と言うことなのですね。
キャスティングされている、宮沢氷魚さんだと、イケメンの期待が高まりますが、実際はそれほど見た目がイケメンではなかったようです。
田沼意知は誰袖と相思相愛に?
「べらぼう」の中では、 花魁 誰袖が田沼意知(たぬまおきとも)に、想いを寄せているように見えるシーンがあります。
あれ?田沼意知と誰袖って恋仲?と疑問が湧きましたが、実際はどうだったのでしょう?
田沼意知と誰袖の出会い
「べらぼう」の中では、誰袖の方から、田沼意知にアタックしました。
誰袖の一目惚れ、という感じです。
そこで、松前藩の抜け荷(密貿易)発見に協力することと引き換えに、田沼意知に身請けさせる約束をするのです。
父 田沼意知は、最初の頃は、誰袖を利用するつもりでした。
それでも、「あぶないことには近づかない方がいい」ということを忠告します。
「べらぼう」の中では、やがて2人が相思相愛になる、というところまで来ます。
田沼意知、誰袖 のちに恋物語に
田沼意知の方が、誰袖に恋心を抱いた、と言う史実は現れていません。
それどころか、田沼意知・誰袖の恋愛、という事実の記録すらありません。
後に出てくる、小説本や芝居では、田沼意知と誰袖の話が恋物語に作られています。
武士と花魁の恋愛は、そんなに大きく、広がることはありません。
田沼意知が、誰袖を利用しようと思ったことは、考えられます。
いつも張り詰めた気持ちで仕事をしていた、田沼意知なので、花魁 誰袖の美しさ、賢さに緊張がほぐれるオアシスのような存在と、感じていたのでしょう。
癒しが恋愛につながることってありますよね。
田沼意知の性格は?
田沼意知は、次の項目にあるように、花魁 誰袖を身請けする決心をするのですが、その前に、田沼意知の性格を調べました。
田沼意知は、田沼意次の嫡男で、幕府の老中を務める予定だった人物です。性格については、同時代の記録や逸話から次のように言われています。
田沼意知の性格
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柔和で礼儀正しい
若い頃から礼儀作法に優れ、温厚な人物とされます。家柄に驕らず、人当たりが良かったと伝えられています。 -
学問好きで才気ある
和歌や儒学などの教養を重んじ、学問好きでした。詩文にも優れ、文化人との交流もあったといわれます。古今集、新古今集をよく勉強していた、とあります。 -
慎重で実直
父・意次の政治を助けながらも、急進的な改革よりも調和を大切にする慎重派で、生真面目すぎる点も感じられます。 -
温厚で敵が少ない
大名や旗本からも比較的好かれており、対立を避けるタイプ。ただし、父・意次への反発が強かったので、その立場上、敵意を向けられることもありました。
田沼意知の性格、同時代の人の見方?
『徳川実紀』や江戸の風聞では、「温雅」(温和でおりめ正しい)、「謙譲の士」(相手を尊重する人)と記されています。
しかし、田沼家の権勢拡大を警戒した敵対派は、彼を「贅沢すぎる」と批判する風説を広めたともいわれます。
田沼意知、誰袖を身請け?
田沼意知が誰袖に、恋愛感情がなくても、誰袖から身請けを頼まれれば、できないこともないとは思います。
「べらぼう」では、誰袖が田沼意知に、一生懸命自分を身請けしてくれるようアピールしています。
田沼意知としては多少なりとも、誰袖に情が湧いたかもしれません。
ここで、田沼意知がそっけない態度を見せる方が、番組としては盛り上がりますけれどね。
が、そうなる前に、田沼意知は、1784年に命を落としてしまいます。
そして、1786年に、誰袖は、土山宗次郎に身請けされます。
田沼意知は、誰袖を一旦、自分の部下(土山宗次郎)に形だけの身請けにして、その後に田沼意知とにくる、というシナリオを立てていました。
いくら大人気の花魁でも、大物政治家 田沼意次の息子が花魁と関係を持つのは、敵に攻撃の猶予を与える、スキャンダルになることを恐れた、と思います。
田沼意知が、「花雲助」と名乗ったのはホント?
田沼意知が、「花雲助」の偽名を使ったのは本当のことです。
「花雲助」と言うのは、狂歌名の作家としてつけた名前です。
田沼意知がつけた、花雲助はコードネーム?
が実際は、田沼意知は狂歌作家としてより、スパイ名、つまりコードネームです。
「花雲助」と言う狂歌よみのふりをして現れたのは、同じく役人で、狂歌詠みである、土山宗次郎(つちやまそうじろう)の宴会に紛れ込むためでした。
この隠密行動の目的は、蝦夷地(現代の北海道)の状況を探るため。
どうやら 松前藩で不正が行われている、と言う疑惑を耳にしたから、自ら調べに来ました。
田沼意知といえば、かなりの高級役人で、自ら手を汚す必要がないはずですが、こんなところに現れてしまった、と言うことはかなり大胆な面も見られますね。
田沼意知の場合の「花雲助」の意味は?
「雲助」と一言で言うと、それは江戸時代では、荷物や人を運ぶ人足(にんそく)、駕籠かき、つまり運び人のことを指します。
雲助になるのは、男性ばかりで、女性がなることはまずありません。
ところが、話の中では「女雲助」と言うものがあるのです。
実際には雲助などやらないのですが、落ぶれた女性、時には娼婦(女郎)たちのことを指すことがあります。
彼女たちは、自分たちの落ちぶれてすさんでいる、身の上を話のですが、それが芝居などで語られ「女の雲助」と言う作品なのです。
本来は田沼意知のような男性は、芸名にしろ「雲助」を名乗ることはありません。
しかし、田沼意知が自ら「花雲助」と言う名前をつけたことで、自分自身の設定を、男娼と見せかけたようです。
そのほうが、より遊び人らしくみえ、情報収集がしやすかったのでは、と思われます。
田沼意知の評価は?
田沼意知の評判は、当時の日本ではあんまり良いものではありませんでした。
父親と、同じく、商業に重きを置き、経済の発展のためならなりふり構わない、賄賂をもらう、そんな路線を引き継ぐと思われていました。
しかし、海外からの評価は違っていました。
日本に滞在していた、イサーク・ティーチングと言うオランダ商館長が、著書「日本風俗図誌」に、次のように書いています。
「田沼親子は、新しい思想の持ち主で、権力を手にし、多くの改革をしてきた。そのため、古くからの保守派に反対され、憎まれた。
反対派の人たちが考えたのは、田沼意次はいずれ年老いて死ぬだろうが、子息(意知)はまだ若く、企画中の新事業も完成させるだろう。
だからこそ、早く倒さなければならない、と敵からは思われていた。
その排除の計画に佐野善左衛門政言が実行犯として名乗りをあげた。
つまり、田沼意知は日本を豊かにできる才覚があった」
と見ています。
ティーチングの文章が、田沼意知の暗殺の可能性をも示すきっかけになった、と思うのです。
田沼意知 役 宮沢氷魚
「べらぼう」で田沼意知にキャスティングされているのは、モデル・俳優と活躍中の宮沢氷魚です。
その父、田沼意次は、渡辺謙が演じておられるので、親子ともに話題になりそうなキャスティングです。
田沼意知殺害事件は、「べらぼう」の中でも大切な場面になりそうです。
というのも、田沼意知の死により、父 田沼意次も勢力を失い、田沼政治の元花開いてきた、蔦重たちの江戸文化に翳りが見えることになりそうだからです。
役作りについては、NHKのインタビューで、以下のように答えています。その時代に何が起きていたのかというところから、いろいろ考察をして、自分なりのちゃんと歴史に基づいた意知を作っていきたいなという風に思っていますし、 プリンスであってほしいという要望がありましたので、ちょっとその期待に応えられるかどうか分からないんですけれども、自分なりに少しでもこの作品に光と輝きを与えられる人物になれたらいいなというふうに思っております。
さらに、父親役の渡辺謙さんとは、舞台での共演もある、ということで、良い親子関係を「べらぼう」内で、作れるのではという感覚があるそうです。
凛とした、田沼の未来のプリンスぶりを楽しむことができそうです。
まとめ
田沼意知と誰袖との恋愛は、実際は確認できませんでしたが、物語にはなりました。
誰袖との恋愛は、田沼意知の心の隙間を埋めるものだったのでしょうか?
顔立ちは、イケメンという説はないにしても、身分の高い2世の若君としてのたしなみとして身につけた、教養・学問などから、好感度の高いプリンスでした。
性格も温和でしたが、田沼意次の息子として、ついて嫌われる運命からは逃れられませんでした。
運命が災いとなり、田沼意知は、命を落とすことになってしまいます。
そのはなしについては、合わせてこちらもお読みください。
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