マリー・アントワネットと音楽の関係を見て見ましょう。その時代の音楽とは上流階級の人々の教養でした。
オーストリア皇女時代では宮廷音楽士グルックが音楽教師で、ずっと敬愛していました。モーツァルトとの幼少期の出会いは有名ですが、それ以降の接点は伝えられていません。
フランス王妃なっても、ピアノやハープの演奏を楽しみ、作曲もしており、革命後もその生活の手慰みとなっていました。
また、マリー・アントワネットの楽器を弾くからくり人形も現存しています。
マリー・アントワネットと音楽家たち、モーツァルトとグルック
18世紀までヨーロッパの音楽界は、宮廷や貴族階級からの支援で成り立っていました。
ほとんどの音楽家は、宮廷音楽師になるか、名家の音楽教師になることで生活の糧を得ていました。そして王家、貴族主催のサロンでコンサートを開いて名前をあげていくのです。
モーツァルトが良い例です。父親とともにヨーロッパ中の宮廷に顔を出して売り込み、有名になりました。
モーツァルトのお父さんは現在でいえば、ステージパパ?
モーツァルトとマリー・アントワネットのシェーンブルン宮殿での幼少期の出会い、そしてプロポーズ事件は有名です。
そしてアントワネットとモーツァルトは生きた時代がほとんど一緒だったにも関わらず、この事件以来接点が見られません。
ですからモーツァルトがマリー・アントワネットのために書いた曲がない、これは非常に残念です。
マリー・アントワネットのウィーン時代の音楽教師はクリストフ・ヴィリバルト・グルックで当事のウィーンで宮廷楽長を勤めていました。オペラ作曲家として知られています。
よく知られている曲はオペラ「オルフェオとエウリディーチェ」内の「精霊の踊り」でしょう。
フルート曲で、プロのコンサートで人気があり、アマチュアも好んで演奏します。
マリー・アントワネットはグルック先生を非常に尊敬していたと言います。マリー・アントワネットがフランスに輿入れ時、フランスに渡ってパリでのデビューを目指します。
その際マリー・アントワネットはグルック先生のために力を貸し、グルックはフランスでオペラで成功を収めるのでした。
演奏家マリー・アントワネット
マリー・アントワネットは幼少時代、勉強は嫌いでした。
というか真面目に物事を考えることが嫌いな性格で、難しい学術の勉強はサボって遊びに行ってしまいました。
この享楽好きな性格はマリー・アントワネットの生涯に深く影響します。
快楽好き、という性格でしたので、ダンス、音楽といった華やかなことは気に入ってよく練習していたようです。
ダンスは得意だったらしく、マリー・アントワネットの優雅な動きぶりはダンスからきているようです。この動き方、歩き方は処刑の寸前まで色褪せませんでした。
楽器演奏に関してはスピネット(クラブサンとも呼ばれています。古いタイプのピアノ、あるいはチェンバロかもしれないです)を演奏するマリー・アントワネットの肖像画が残されています。
またハープを演奏する、話も残っています。
実際、その後フランス貴族たちの間でハープが流行したようです。
マリー・アントワネットはハープ演奏が好きでフランス革命勃発後も、幽閉されていたタンプル塔でもよく弾いており、子供達にも手ほどきをしていたようです。
そのくらい、アリー・アントワネットにとってハープはそばから話せないような品だったに違いありません。マリー・アントワネット御用達のハープ製作所があり、
いまでもアントワネット愛用だったと思われるハープが現存するそうです。
またマリー・アントワネットのピアノも残っているそうです。
マリー・アントワネットのプライベートコレクションがオークションにかけられその中にピアノもあったそうです。
そのオークションは現代のことで、激動の時代を乗り越えがハープやピアノが残存にびっくり…
ロマンですねえ。
マリー・アントワネットは作曲家
マリー・アントワネット作曲とされる楽曲がいくつかあります。
12曲がマリー・アントワネットの曲として伝えられていますが、その中にはどうもアントワネットの時代とは違うような作風の曲もあり、真偽のほどが定かではありません。
アントワネットが生きた時代だからでしょうか、モーツァルトを感じさせる曲もあります。
いずれにせよ、これからの研究が待たれます。サンプルが聞けるページで視聴すると、優しげな曲が多いのが特徴です。
サロンで気軽に演奏するのにちょうどいい感じです。楽譜が入手できれば(現代に楽譜として起こされたものですが)もしかしたら私達にも弾けそうな感じがして来ました。
マリー・アントワネットのからくり人形
珍しいからくり人形をご紹介しましょう。
マリー・アントワネットがダルシマーを弾くアンティーク人形です。パリ工芸博物館で見ることができます。
ところでダルシマーってどんな楽器でしょう?
正式にはハンマーダルシマーと言いますが、台形の木板に弦が貼られてもので、その弦を木製のスティック(ハンマー)で打って音を出します。
ピアノの弦の貼られた部分のみのような楽器です。この弦のことからピアノの先祖とされています。
この人形はミニチュアで、ダルシマーは50センチ前後の高さの楽器で、バネを巻いて動かすオルゴールです。
驚くことはかなり精巧に出来ているだけでなく機械は18世紀の時計職人によってということです。
周りの箱を含めた外観は家具職人により作られていました。
グルックの曲を中心に8曲が内蔵されています。やはり尊敬するグルック先生でしたか。
この人形を注文したのはマリー・アントワネット本人で、ドレスは自分のドレス生地で作らせており、頭髪も実際の自分の髪を使って作らせたと言われています。
現代ならDNA鑑定をすればわかるような気がしますが。
マリー・アントワネットを模しているその名の通り、からくり人形ながら優雅な動きをします。
18世紀に作られた人形がこのような形で現存しているのには驚きです。
当時の品が残されているのはロマンですが、あの暴動続きの革命の中をよく生き残ったと感心します。
宮廷や貴族の館が破壊され貴重な物品が略奪されたというのに。
他の宝物も現在美術館に展示されているのを数多く目にすることがあります。
それを見るたびにあの暴動をどうくぐり抜けて来たか、美術品に問いたいです。
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