2023年、NHKで男女逆転の「大奥」のドラマの感動の余韻が冷めない中、2024年民放で、正規版(?)大奥の放映が始まりました。
同じ大奥でも、男女逆転でこんなに違うものか・・・と驚いています。
久しぶりにみる、女性同士のドロドロ・・・女って怖い・・・と。
その中でも異彩を放つのが、お年寄 高岳・・・
性格もそうですが、容貌もかなり恐ろしげです。その反面、この人は何をしてくれるのか、目が離せません。
ここでは、高岳の魅力を語ってみようと思います。
大奥 高岳とは誰、実在か?
高岳とは、大奥女中であった実在の人物です。
読み方は「たかおか」ですが「たかがく」と読むこともあります。
生まれた年や、亡くなった年、本名は不明です。
徳川将軍家治の時代では(宝暦)上﨟御年寄(じょうろうおとしより)としてつとめ、徳川幕府11代将軍徳川家斉(いえなり)の時代に筆頭老女になった、ということがわかっているだけです。
上臈御年寄も筆頭老女というのは、どちらも「老」がつきますが、歳をとった人という意味ではなく、大奥の女中という意味です。
筆頭老女とは女中頭に近い役割ということでしょう。
大奥の高岳は公家の生まれとも言われています。
徳川家治の前の将軍 家重(いえしげ)の御台所 比宮増子 王女(なみのみや ますこ ひめみこ)の侍女として付き従ってきた、ということです。
それなら、家治の母、お幸(おこう)のこともよく知っていたのではないでしょうか?
どちらも、御台所に仕えるため、京都(京都)から従ってきたのですから。
公家出身なら、眉なしメイクも不思議ではありませんね。
生まれが公家なら、なぜ、家治の正室 五十宮倫子(いそのみやともこ)に、公家気分を捨てるように、と辛くあたったのでしょうね?
自分がかつて、公家のしきたりを捨てなければならなかった、その腹いせでしょうか?
大奥 高岳と松島はライバル同士。実際でもライバルか?
大奥の高岳には、松島(まつしま)という敵対相手、つまりライバルがいました。
二人で、大奥の実権争いをします。
松島は、2024年ドラマ「大奥」では、筆頭老女です。
松島は、将軍 家治の養育係を務めた人物であるため、大奥での権威は絶大でした。
大奥では、高岳も松島の同じ将軍付きの役割だったので、その権力争いも激しいものになっていました。
松島の方が、位が上なので、大奥内では高岳はどうしてもナンバー2の地位です。
元はと言えば、松島も高岳と同様公家の出身で、共に、比宮増子 王女の輿入れに従って江戸城にやってきました。
増子 女王が御台所就任のおりには、高岳も松島も協力しあって、御台所を支えた存在だったかもしれません。
五十宮倫子輿入れの時と同じように、当時の江戸幕府側の勢力に対抗するべく、二人で協力したことも考えられます。
高岳も松島も実在した人物ながらも、二人が、敵対していたか、それとも協調関係にあったか、記録がありません。
確かに、女のドロドロの戦いを描く「大奥」ものなら、ライバル関係にあった方が面白いですから。
大奥のドラマの中で高岳は松島のことを「涼しい顔をしながら、気に入らないものは徹底的に排除していく」人物だ、と言っています。
この言葉から、高岳と松島の因縁を感じさせます。
大奥 高岳、眉なしの理由?
大奥の上級女官に、眉のないお中臈が出てきました。
このかたが高岳(たかおか)です。
眉がない・・・というのが何より衝撃的でした。
なぜ、高岳だけ眉がないのでしょうか?
眉がない理由を考えてみましょう。
①眉と眉の間が広い方が美しい
そう言われていました。
江戸時代と、現代では 美人の感覚が違います。
そのために眉を剃り、さらにその上に新しい眉を描きました。いわゆる「麻呂眉」(?)
眉毛の化粧というわけですが、身分の高い女性だけが行った化粧です。
高岳は、身分が高く、美女である、を強調した演出です。
②既婚者である
眉を剃り落とすのは既婚者である、とういう風習が日本では長年にわたって存在しました。
その風習は明治時代に入ってから薄れていき、第二次世界大戦の後には完全に廃れました。
では高岳さんは、既婚者だった?と疑問が湧きます。
大奥に入る者は、未婚者でなければならない、という規則があったため高岳は結婚したことがない。
ということは、元は身分の高い家の出身者だった、と推測されます。
③役柄の怖さを演出するため
これは家柄でも、監修でもなく、役の性質を表すための演出という考え方です。
ドラマの配役たちの中でも、特に異彩を放っています。
そして、低音のセリフ回しと一緒になって、より一層不気味さを感じさせます。
結果として、高岳の眉がないのは、身分が高く、そしれ権力がありコワイ人物、それを表そうとして眉を剃った役柄にしたのでしょう。
大奥 高岳、NHKの場合
2024年 フジテレビ系で放映中の「大奥」は、将軍、徳川家治の時代で、NHKでの「大奥」の時代でいえば、ちょうど、平賀県内(ひらがげんない)、青沼、黒木が活躍した頃です。
では、高岳はいたのでしょうか?
はい、いました、相島一之 さんがキャスティングされていました。
男女逆転版の「大奥」の高岳さんは、陰謀を企んだり、御台所に嫌がらせをするようなキャラではありませんでした。
大奥の仕事をきちんと果たして、大奥での日常がスムーズに動けるよう働いていました。
「男女逆転版」の中では、赤面疱瘡という病気の治療法を探るというのが大きなテーマであり、大奥内でも、赤面疱瘡撲滅の対策を行っていました。
そのためにに医療施設など設けその運営に携わりました。
蘭学者 吾作 が大奥に来た時、「青沼」という名前をつけたのが、高岳でした。
同じ時代を扱った「大奥」ですが、同じ高岳3でも、多くで権力に取り憑かれた女性、大奥で自分の指名を全うした人物、と性別が違えば、描かれ方が全く違うのが面白いです。
高岳という人物は、大奥を取り仕切るのに有能さを発揮した人物と言われています。
有能さを強調したのが、男女逆転版の「大奥」でした。
大奥 高岳、ドラマの中でこれからの展開は?
高岳、松島に勝つ!
徳川家治がまだ将軍だった時1774年に、高岳は筆頭老女に就任します。
ついにライバル松島を、追い落とした、ということになります。
高岳が推した女性(ドラマでは、お品というもと御台所付きの侍女)が産んだ子でも、松島が推した女性(ドラマでは お知保という女性)が産んだ子供ではありませんでした。
ですから、将軍の後継者争いに、どちらかが勝った、というわけではありません。
1765年(明和2年)に、仙台藩主が自分がより高い地位を望んだために、幕府の重鎮、および大奥の高岳に取り入ったということも関係しています。
高岳は伊達藩に、自分の屋敷を作らせています。
伊達藩からの賄賂を受けた、ということなのですが、賄賂を受けた中に、高岳の他に、田沼意次という、幕府の要人がいました。
となると、高岳と田沼意次はつながりがあったのではないか・・・という疑いが持たれます。
田沼意次は、賄賂の受け私を使って政治をした、という噂が絶えません。
大奥の高岳と田沼意次が、つながりがあってもおかしくありません。
金銭面が絡み、大奥の争いは高岳に軍配が上がったのでしょう。
高岳の引退
高岳の大奥での、筆頭老女時代は、次の将軍、徳川家斉(いえなり)になっても続いていました。
徳川家斉は、松平定信(まつだいらさだのぶ)を老中に就けるつもりで、大奥 筆頭年寄だった、高岳の意見を聞きました。
高岳は反対しました。反対したことは、当時の大奥にいた御年寄の一人、大崎 が記録に残しています。
反対には理由があります。
松平定信の妹が、前の将軍 徳川家治の元に養女に来ています。
高岳は、養子とはいえ、将軍の縁者は、幕府の仕事に関与してはいけない、と思っていたからです。
政治と大奥は、お互いに関連づいてはならない、中央政府が大奥の思惑にいちいち反応してはならない、という考えの持ち主だったようです。
高岳は、幕府と大奥は互いに影響しあってはいけないと、考えていた人物でした。
ここに高岳という人物の、役割に対するしっかりした考え方が現れています。
それにしては、賄賂が行き交っていたのが、高岳さんのこれまでのやり方、だった思うのですが。
結局は、松平定信は老中職につき、これを期に、高岳は筆頭お年寄りを退きました。
反対したことによって、松平定信との間に確執がうまれたのかもしれません。
大奥 高岳 役
大奥 高岳にキャスティングされているのは、田中道子です。
目元に魅力がある女優さんです。
そんな美貌の女優が、眉を剃り落としたメイクをするので、ものすごく迫力があります。
目力、抜群という感じ、妖艶な雰囲気もたっぷり出しています。
さらにその凄まじさに拍車をかけているのが、低音の声です。
番組の感想でも、眉なしのこわさが盛んに取り沙汰されていますが、この声の魅力も忘れてはいけません。
田中道子さんのお歳は、30代前半と書かれていましたが、この年齢であれほどの太く低い声音をだされるのは、素晴らしい、というのみです。
眉なし、目力、声音・・・これからどんな魅力的な「高岳」が見られるのか楽しみです。
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